研究実績の概要 |
本年度もCOVID-19パンデミックの影響が色濃く出て、想定の登録症例数より大幅に少ない状況であった。最終的な総解析対象症例はn=8であった。これらのすべての飼料を医科歯科大学に移送して細菌のDNAを抽出し、16S rRNA gene(V3-V4)をターゲットとしたプライマーを用いてライブラリーを作製後、次世代シークエンサー(Illumina Miseq)でシーケンス解析を行い、リアルタイムPCR法により総菌数、各細菌数の対総菌比率を算出した。 解析結果について幾度と研究者の間で検討を行ったが、登録症例数が少ないこと、手術症例数(弁検体数)が3症例と少ないことから、統計的結果は困難と判断し、典型的なStreptococcusによる感染性心内膜炎で僧帽弁置換術に至った2症例で症例報告を行った(Kataoka A, Shiba T, Katagiri S, Koyama S, Kito K, Ota T, Katayama T, Ohsugi Y, Nagai T, Kobayashi R, Komatsu K, Urata M, Imazuru T, Iwata T, Kozuma K. Novel and Efficient Method for Diagnosing Infective Endocarditis Using 16S Ribosomal RNA Gene Amplicon Sequence. JACC Case Rep. 2023 Feb 22;11:101793.)。 感染性心内膜炎は従来の血液培養と超音波検査の所見に加えて、16sリボゾームRNA遺伝子アンプリコンシーケンスを用いても細菌学的な診断が可能で、またこの手法によって既に抗生物質治療を受けている患者で、血液培養陰性でも原因菌を同定できる可能性が示唆された。
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