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2021 年度 実施状況報告書

肺胞内脂質の“質”的な環境変化による呼吸器疾患形成メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K08597
研究機関東京大学

研究代表者

高宮 里奈  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (70365419)

研究分担者 齋藤 充史  札幌医科大学, 医学部, 助教 (00768939)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード肺線維化 / ブレオマイシン / Phophalipase A2
研究実績の概要

ブレオマイシン誘発性肺線維化モデルを用い、リン脂質分解酵素ホスホリパーゼ A2の網羅的発現解析を行なった。肺胞洗浄液中に含まれる細胞(炎症細胞)を用いた解析では、Pla2g4c, Pla2g2d, Pla2g3, Pla2g12aなどの分泌型のsPLA2の発現が亢進することがわかった。一方、肺内では、sPLA2であるPla2g10, 細胞質型のcPLA2であるPla2g4a, カルシウム非依存性のiPLA2である Pnpla6の発現が亢進することがわかった。Pla2g4a (cPLA2 alpha)はアラキドン酸代謝を担う主要酵素であることから、その下流の酵素の発現を検証したところ、肺内で炎症により誘導されるCOX2の発現が亢進していることがわかった。そこで次に、このサンプルを用いリピドミクス解析を行った。その結果、肺胞洗浄液中、肺内両者で、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸の、いずれの高度不飽和脂肪酸の産生も亢進が認められた。そこで、その下流にある脂質メディエータの産生について検証を行ったところPGD2, 15deoxy PGJ2, PGE2, LXA4などの炎症性の脂質メディエータの産生の亢進が認められた。また、肺胞洗浄液中の肺サーファクタントの主成分であるジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)の産生量には変化は認められなかったが、PE, PIは増加傾向にありLPE, LPIの産生の増加が顕著に認めれた。一方、肺内では PCは全体的に減少傾向にあり、その下流の一部のLPCが増加していた。また、PG、LPGの産生量の増加が認められた。以上の結果から、ブレオマイシン誘発性繊維化モデルにおいて、肺内の脂質環境が変わっていることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ブレオマイシン誘発性肺線維化モデルを用い、脂質代謝酵素の網羅的解析、およびリピドミクス解析から標的とする脂質や脂質代謝酵素を同定することができた。

今後の研究の推進方策

リン脂質代謝酵素のうちPCからLPC, コリンの産生に関わると報告されているPnpla6は繊維化モデルで遺伝子発現が亢進していることを発見した。
そこで、今後Pnpla6の肺内での発現に着目し、発現細胞の同定、及び肺がん細胞株を用いた検証を行なっていく予定にしている。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍のため、札幌医科大学に研究打ち合わせや、実験を行いに行くことができなかった。また、当初予定していた国内外への研究会、学会への参加がオンラインでの対応や、または中止のため参加することができなかった。また、試薬やプラスチック類が年度内に入荷されず実験に遅れが生じた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] cPLA2eは抗炎症性脂質NAEの産生に関わる2021

    • 著者名/発表者名
      杉本奈央、高宮里奈、三木寿美、宇山徹、上田夏生、李賢哲、横溝岳彦、村上誠
    • 学会等名
      第94回 日本生化学会大会

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公開日: 2022-12-28  

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