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2019 年度 実施状況報告書

喘息におけるneurturinの臨床的役割

研究課題

研究課題/領域番号 19K08607
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

佐藤 俊  福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (90464510)

研究分担者 鈴木 康仁  福島県立医科大学, 医学部, 助教 (70769596)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードNeurturin / 喘息 / 気道炎症 / 神経栄養因子
研究実績の概要

2019年度は福島県立医科大学附属病院に通院中の気管支喘息患者を対象とし本研究参加に同意いただいた患者に対し、これまでの臨床的な情報の取得、肺機能、呼気一酸化窒素濃度、誘発喀痰上清中と血清中の神経栄養因子neurturin濃度を測定した。
21人の成人喘息患者(男性 16人/女性 5人、平均年齢 64.0歳)の誘発にて喀痰上清を採取し、さらにこのうち19人について血清採取を行った。ELISA法で測定したneurturin濃度は誘発喀痰上清で平均(標準偏差) 2.54(1.29) ng/mLで全検体にて検出可能であった。このうち5人は喘息増悪時の検体であったが、喘息安定期11人と増悪期5人の誘発喀痰上清中のneurturin濃度は、平均(標準偏差):安定期2.76(1.39) vs 増悪期1.82(0.52) ng/mL (p=0.036)と安定期で有意に高濃度であった。
一方血清では19検体全てで測定感度以下であった。今回用いたELISAキット(Sandwich ELISA kit, LS Bio社製)の測定範囲は0.313-20 ng/mLであり、血清検体においてはさらに測定感度を上げた検索が必要と考えられた。しかし今年度の結果からneurturinは血清よりもかなり高濃度で気道中に存在している可能性が示唆された。このことはこれまで報告されておらず新しい知見と考える。
今後は引き続き新規気管支喘息患者の誘発喀痰検体採取と血清採取を進め、本年度にベースラインの検査を施行した症例については、前向きに1年おきに誘発誘発喀痰検体採取と肺機能、呼気一酸化窒素濃度、喘息コントロール、喘息増悪の有無などについての検査ならびに調査を行う。尚、今年度の結果を基に血清検体についてはさらに感度を上げた測定法によるneurturin濃度の測定を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当初研究開始後(2019年7月~)の6~12ヵ月間を症例集積のエントリー期間に設定し、目標症例120人を予定していたが現状21人と非常に少なくなっている。新型コロナウイルスの流行に伴い、大学病院において気管支喘息患者が集中する冬季の通常診療が困難となったこと、さらに感染予防のために喀痰誘発や肺機能検査を自粛しなければならず検体採取が困難となってしまったことが原因と考えられる。

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルスの流行が収束するまでは誘発喀痰の採取ができず、対応策として過去の保存検体などを用いて研究を進めることも検討している。
誘発喀痰採取が可能となれば追加の検体採取を行う。現状集積した症例については、その後の肺機能や臨床的に増悪の有無などの前向きな検討を行ってゆく予定である。

次年度使用額が生じた理由

2019年度は予定された測定検体が集まらず、支出の主たる部分を占めるELISAキットの注文数が少なかった。2020年度は新規症例や1年後の追加検体が採取できた症例のneurturin濃度測定と既に採取した検体について神経栄養因子で気道中への存在が確認されている、artemin、persephinの測定、炎症性サイトカインの測定なども施行してゆく予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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