研究課題/領域番号 |
19K08607
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 俊 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (90464510)
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研究分担者 |
鈴木 康仁 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (70769596)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Neurturin / 喘息 / 気道炎症 / 神経栄養因子 / Artemin |
研究実績の概要 |
2020年度の研究計画では、前年度に引き続き新たな気管支喘息患者の誘発喀痰を採取し、喀痰上清中のneurturin濃度の測定と臨床データの照らし合わせる、前年度採集した気管支喘息患者の誘発喀痰を1年おきに採取し誘発喀痰中のneurturin濃度の経過を追うこと、前年度に測定感度以下であった気管支喘息患者の患者血清中のneurturin濃度を高感度の測定キットを用いて測定する予定であった。しかしながら、本邦のCOVID-19感染流行に伴い感染予防の観点から誘発喀痰の採集が難しく新たな検体を集めることが困難であった。また、血清検体についてPCRを用いた高感度のneruturin測定キットを米国から輸入し検査したが、キットの指示するPCR測定環境と当施設の測定環境が異なり、最終的に測定データを得ることができなかった。 そこで我々は、neurturinと共に神経栄養因子でアレルギー性炎症との関連が示唆されているarteminに着目し、既に採集した誘発喀痰検体についてELISAキットを用いて測定しneurturinとの関連を含め検討した。40検体のうち34検体で測定感度範囲内(6検体については測定感度以下)であった。34検体の誘発喀痰中のartemin濃度(平均±標準偏差)は、850±271 pg/mL (濃度範囲:338.1~1577.0 pg/mL)であり、artemin濃度はneurturin濃度とは明らかな相関を認めず(r=-0.195, p=0.349、呼気NO濃度とは有意な正の相関を認め(r=0.374, p=0.303)、喘息患者の対標準1秒量と負の相関傾向を認めた(r=-0.305、p=0.080)。今回の検討から喀痰中artemin濃度はneurturin濃度とは関連を認めない一方、呼気NO濃度と相関しアレルギー性気道炎症への関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本邦のCOVID-19感染流行に伴い、感染予防の観点からCOVID-19患者の診療を行っている当該施設では誘発喀痰の採集が難しく新たな検体を集めることが困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19感染流行の収束で誘発喀痰の採取が可能となり次第検体採集を再開し、neurturin 濃度の解析を進める。また、既存検体を用いて炎症性サイトカインやプロテアーゼとの関連や肺機能の経年低下との関連について検討を進める予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19流行に伴い検体採集が困難となり今回の予算の多くを占めるELISA用測定キットの発注量が予定より減少したため次年度使用額が発生している。今後流行の収束と共に検体採集数が増える予定であり、その分のキットの予算に充てる予定。
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