研究実績の概要 |
目的としては、変異EGFRの奇異な細胞内動態の責任分子としてCMTM遺伝子群の役割を解析し、輸送異常との関連性を解明する。さらに新たに樹立した次世代肺癌モデルマウスを用いることで、CMTM輸送系が治療抵抗性に果たす役割をin vivoモデルで検証し、革新的な肺癌治療の基礎を築くことを目的とした。 まず、CMTM6の各肺癌細胞株での発現をmRNAの発現プロファイルみたところL858R変異株であるH1975,exon19del変異株H1650で高発現を確認できた。CMTM4についても同様に発現をmRNAの発現プロファイルでみたがCMTM6と比較すると発現は乏しかったが、CMTM3に比較すると発現は多かった。また、CMTM7はCMTM6と比較すると弱いがCMTM4以上の発現が認められた。この後CMTM6に加えて肺癌細胞株に発現が認められるCMTM7も加えて研究を進めた。この二つのプラスミドを作成しH1975とH1650肺癌細胞株にtransfectし安定的にCMTM4, CMTM6を発現する細胞株をつくることに成功した。shRNAを作成しCMTM4,CMTM6それぞれをノックダウンを試みた。CMTM6についてはノックダウンすることが出来たが、CMTM4についてはノックダウンを効率よく行うことが出来なかった。
ヒト検体についての研究では、EGFR遺伝子陽性肺癌であっても免疫チェックポイント阻害剤が反応する腫瘍標本を収集・研究するのためプロトコールを作成し、多施設で検体を集めた。複数施設での倫理委員会での承認が得られた。免疫組織染色を行ったが、CMTMがユビキタスに発現しているためか、または、抗体の性能が不十分であるためか、染色がうまくいかずに現在ペンディングの状況で、in vitro研究に注力している。
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