研究実績の概要 |
本研究では根治性の高い肺癌の新規治療法の開発を行い、肺癌患者の予後を改善することを目的とした。オルガノイド(3D)は細胞株(2D)やxenograftモデルでは難しかった癌細胞微小環境の再現を可能にすることから、分子異常と発癌フェノタイプを繋げる強力なツールとして注目されている。 申請者らは、現在までに100を超える肺癌臨床検体からオルガノイドライブラリーを樹立した(Ebisudani, Hamamoto et al. 投稿準備中。Fukushima, Hamamoto et al. 投稿準備中。Kawasaki, Hamamoto et al. Cell 2020)。さらに、同一患者由来の非癌部肺からの正常肺オルガノイドライブラリー樹立に関しては、気道は2015年、肺胞typeIは2017年にそれぞれ培養方法確立が報告されたが、肺胞typeIに分化する肺胞typeIIオルガノイドの培養が可能になったのは2020年で、申請者らを含む3つのグループがほぼ同時に発表した(Salahudeen et al., Nature 2020, Katsura et al., Cell Stem Cell 2020, Ebisudani, Hamamoto et al., Cell Report 2021) 。肺腺癌及び小細胞肺癌の一部について各種omics解析により分子異常を同定し、それに伴うフェノタイプの関連を明らかにして、新たな治療標的を同定することができた。
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