研究課題/領域番号 |
19K08613
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
権 寧博 日本大学, 医学部, 教授 (80339316)
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研究分担者 |
清水 哲男 日本大学, 医学部, 准教授 (00339326)
伊藤 亮治 公益財団法人実験動物中央研究所, 実験動物研究部, 室長 (60425436)
丸岡 秀一郎 日本大学, 医学部, 准教授 (80599358)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヒト化マウス / 気管支喘息 / IgE / TSLP / IL-33 / 好酸球 |
研究実績の概要 |
高用量の吸入ステロイド治療でもコントロール不良な重症・難治性喘息患者の難治化病態には不明な点が多い。IL-33はヒトの喘息病態に関与していることが知られており、マウスモデルにおいてもIL-33の気道内への投与がILC2などを活性化してアレルギー性気道炎症を引き起こすことが知られている。我々は、ヒトIL-3/GM-CSF/IL-5 Triple TGヒト化マウスにヒト・リコンビナントIL-33を経気道投与することで、ヒト好酸球によるアレルギー性炎症を誘導できるかを検討している。昨年度に引き続き、難治性喘息マウスモデルとして、TSLPがIL-33と相互作用しステロイド抵抗性に関係していると報告されているが、我々は、ヒトIL-33及びヒトTSLPを経気道投与し、デキサメタゾン(DEX)腹腔内投与の効果を確認したところ、IL-33単独投与群ではDEXによって肺胞洗浄液中への好酸球浸潤を抑制したのに対して、IL-33+TSLP投与群ではDEX投与後も好酸球浸潤が抑制されないことを、マウスの個体数を増やして再度、実験データの確認を行った。結果、ヒトTSLPも、マウス同様にステロイド抵抗性に関係している可能性があることが、再確認された。また、アトピー型重症喘息モデルの構築のため、ハウスダスト特異的ヒト合成IgE抗体をin-vitroで感作した培養ヒトマスト細胞に対して、ハウスダスト刺激を行い、脱顆粒が起きるかどうかを確認した。このハウスダスト特異的ヒト合成IgE抗体をマウスに投与し、抗原刺激で気道に炎症が生じるかを観察した。肺胞洗浄液中でヒト好酸球の増加を確認され、ヒト化アトピー型マウス喘息モデルを確立することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、実施できていなかったヒトIL-3/GM-CSF/IL-5 Triple TGマウスを用いて、ヒトハウスダスト特異的人工IgE抗体を用いたヒト化マウスの感作とHDM投与による、好酸球性気道炎症を発症させうることが確認され、新たなヒト化喘息マウスの樹立に成功した。しかしながら、令和2年度の前半は新型コロナウイルスの影響により、マウス実験が一時実施不能となり、その後の研究計画の大幅なスケジュール変更を余儀なくされた。令和2年度に実施を予定していた好酸球性肉芽腫性多発血管炎モデルのヒト化マウスモデルの作成は年度内に実施することを断念せざるを得なくなった。
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今後の研究の推進方策 |
マウス実験の遅れを取り戻すために、細胞を用いた実験のスケジュールを前倒しして、基礎的な条件検討をin vitroのモデルでできるたけ行うことで、マウスの基礎的検討で必要になる個体数を減らす工夫などを行っている。令和2年度の後半も第3派の影響で、実験を順調にすすめられない時期があったが、R3年からヒト化マウスが使用できる状況となり、現在、動物モデルの検証を行っているところである。R3年度に動物実験を集中的に行い、実験の遅れを取り戻す予定でいる。
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