研究課題/領域番号 |
19K08618
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
柴田 岳彦 国立感染症研究所, 免疫部, 主任研究官 (00739196)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 気管支喘息 / RSウイルス / 増悪 / MMP-12 / マクロファージ / 好中球 |
研究実績の概要 |
気管支喘息患者が風邪をひくと、喘息の増悪をひき起こすことがしばしばある。風邪の原因ウイルスである respiratory syncytial (RS) ウイルスは、喘息増悪因子のひとつとされるが、その感染に伴う喘息増悪機構は解明されておらず、根本的治療法もみつかっていない。このような状況下、最近我々は、RSウイルス感染に伴う喘息の増悪機構にmatrix metalloproteinases (MMP-12) が関与する可能性を見出した。そこで本研究では、MMP-12に焦点を合わせ、RSウイルス感染に伴う喘息増悪のメカニズムを解明することを目的とした。 喘息増悪モデルでは気道抵抗値 (AHR) や MMP-12産生の亢進がみられる。このモデルを用いてMMP-12遺伝子欠損 (KO) マウスと野生型マウスの応答を比較したところ、KOマウスではRSウイルス感染による喘息の増悪がみられなかった。さらに、喘息グループにリコンビナントMMP-12を投与するとAHRが上昇し、喘息の増悪がみられた。つまり、MMP-12が喘息の増悪因子であることが判明した。また、増悪グループでは顕著な好中球浸潤がみられたが、これら好中球を抗体により枯渇すると、喘息の改善がみられた。すなわち好中球も増悪に関与することがわかった。さらにMMP-12 KOマウスでは増悪に伴う好中球数の増加が抑制された。以上の結果より、MMP-12が好中球数を増加させることによりAHRの亢進、喘息の増悪を誘導することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画以上の成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
MMP-12産生機構の解明と、MMP-12による好中球数増加の機構を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
気道を構成する結合組織であるエラスチン (MMP-12の基質) の分解を観察したが、定量が困難であった。その検討に時間がかかったため、使用額に差が生じた。2020年度は、上記検討と合わせて好中球の喘息増悪への関与と、RSウイルス感染によるMMP-12誘導機構の解明を行う。
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