研究課題
C型ライノウイルスの放出量定量化の確立し、薬剤によるウイルス放出量抑制効果と機序を明らかにした。さらに、気管支喘息症例におけるC型ライノウイルスの増殖の変化を検討した。研究実績は以下の通りである。45症例(気管支喘息17症例)のヒト鼻腔粘膜上皮細胞を用いて検討した。C型ライノウイルス(RV-C03)を細胞に感染させ、粘膜測洗浄液 (ASL)のウイルスRNAを測定した。マクロライドであるバフィロマイシンがRV-C03放出を抑制し、RV-C03の感染受容体であるCDHR3のmRNAの発現量およびウイルスの細胞質進入経路である酸性エンドソーム数が減少した。この結果より、洗浄液RV-C03RNA測定によりウイルス放出量を定量化できること、バフィロマイシンが酸性エンドソーム数および受容体の減少を介してRV-C03の増殖抑制に関与していることが示された。インターロイキン(IL)-6およびIL-8の培養液濃度がRV-C03感染で増加し、バフィロマイシンがこれらの炎症性物質の放出量が減少した。この結果、バフィロマイシンがRV-C03感染に伴う気道炎症を抑制する効果を有することが示唆された。さらに、マクロライドのクラリスロマイシン、EM-900およびNa+/H+交換チャネル阻害薬であるEIPA(ethyl-isopropyl amiloride)がエンドソームのpHを上昇し、RV-C03 RNAの放出を抑制した。RV-C03の放出量がB型ライノウイルスに比べて増加していることを認めた。RV-C03の接着・増殖増加をもたらす受容体CDHR3 mRNA遺伝子型(G/A)を有する細胞から放出されるウイルス量がG/G遺伝子型を有する細胞に比べて増加する傾向を認めた。気管支喘息と非喘息症例ではRV-C03放出量およびCDHR3 mRNAの遺伝子型の違いを認めなかった。
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Virus Research
巻: 304 ページ: 198548
10.1016/j.virusres.2021.198548.
臨床とウイルス
巻: 49 ページ: 261-269