研究課題
血小板は血栓形成や止血以外に、がんの浸潤・転移おいて重要な役割を果たしており、大腸がんや乳がんにおいて上皮間葉移行(EMT)を誘導し浸潤・転移を促進することが報告されている。血小板が、がんの薬物療法(分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、殺細胞性化学療法)感受性にどのように影響するのかは分かっておらず、本研究課題では、肺がんの薬剤感受性における血小板の役割を明らかにすることを目的としている。末梢血から血小板を精製し、非小細胞肺癌細胞株と共培養をする系を確立した。中でも、非小細胞肺がん細胞株を血小板と共培養することで、CDH1発現低下、VIM発現上昇が認められEMTを生じていることが示唆された。従って、血小板によるEMT誘導が、肺がん細胞の薬剤感受性を低下させる可能性が示唆された。一方、抗血小板薬を投与することでEMT誘導が抑制されるかを検証したが、有意な結果は認められなかった。
3: やや遅れている
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い研究の遅れが認められた。
細胞株の種類を増やして、非小細胞肺がんに限らず、共培養の影響を検討する。また、共培養に伴って生じる血小板側の変化(血小板の活性化や凝集)についても検討を進める。
新型コロナウイルス流行に伴い実験が中断された。2022年度に主に物品費として使用予定である。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
BMJ open
巻: 12 ページ: e056136
10.1136/bmjopen-2021-056136
Scientific Reports
巻: 11 ページ: 11617
10.1038/s41598-021-91032-6