研究課題
EGFR変異を伴う肺癌は、日本人の非喫煙者に発生する肺癌の半数以上を占める重要な疾患である。EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)は、がんの直接的な原因であるEGFRを阻害することで高い効 果を示すが、完全寛解、根治しないことが未解決の課題である。EGFR-TKI投与後に生き残る「persister」がん細胞と呼ばれる細胞集団が、完全寛解、根治に向けた新規の治療標的として注目さ れている。申請者らは、独自にEGFR遺伝子改変マウスモデルを樹立し、「persister」がん細胞マウスモデルの作製に成功した。本研究では、この「persister」がん細胞マウスモデルを用い1)「persister」がん 細胞およびその腫瘍微小環境を遺伝子およびタンパクレベルで包括的にスクリーング、2)臨床応用可 能な治療標的を同定、3)マウスモデルでその阻害効果を検証、4)ヒト検体でマウスモデルと同様の因 子が活性化しているかどうかを確認、5)得られたデータを元に、肺癌根絶を目標とした臨床試験を立 案することを目的とする。2019年度は、研究協力者ドイツケルン大学Sos教授にサンプルを提供して、RNAシークエンシング解析を行い、治療標的の同定をおこなった。また免疫染色にて、「persister」がん細胞と腫瘍微小環境の検討をおこなった。
2: おおむね順調に進展している
研究協力者ドイツケルン大学Sos教授にサンプルを提供して、RNAシークエンシング解析を行い、治療標的の同定おこない、in vivo検証も行うことができた。
pesister細胞そのものの性質および周囲微小環境に、臨床応用可能な治療標的を探索し、in vivoで検証していく。
予定された実験が部分的に次年度に繰り越され、予算残余が発生した。次年度に予定された実験を早期に行い予算は適切に消化される予定である。
すべて 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Lung Cancer
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