研究課題/領域番号 |
19K08634
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
岡本 安雄 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80293877)
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研究分担者 |
竹之内 康広 川崎医科大学, 医学部, 助教 (30582233)
坪井 一人 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80346642)
北風 圭介 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80840545)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脂質メディエーター / 肺線維症 / 脂質リン酸ホスファターゼ3 |
研究実績の概要 |
線維症に重要な因子であるリゾホスファチジン酸(LPA)やスフィンゴシン1-リン酸(S1P)の分解活性をもつ脂質リン酸ホスファターゼ3(LPP3)の遺伝子発現が肺線維症モデルマウスの肺で低下していることから,線維化肺ではLPP3の発現低下がS1PとLPAの蓄積を引き起こし,線維化を促進していることが考えられた。本研究では、肺線維症モデルマウスを用いて,肺線維化の発症・進展に伴うLPP3タンパク質の発現変化および発現制御メカニズムを明らかにすることを目的として行う。2020年度は以下の実験結果が得られた。 ・肺線維症モデルマウスおよびコントロールマウスの肺から磁気ビーズ細胞分離法を用いて肺胞上皮細胞,血管内皮細胞,線維芽細胞,マクロファージを分離し, LPP3およびp16の発現の変化を検討した。肺線維症モデルマウスから単離した肺胞上皮細胞においてLPP3の遺伝子発現が低下していた。一方、マクロファージではLPP3の発現が増加していたが、発現レベルは他の細胞と比較して、10分の1以下であった。また、肺線維症モデルマウスから単離したマクロファージ、肺胞上皮細胞や血管内皮細胞においてp16の発現が増加し、細胞老化を起こしていると考えられた。 ・LPP3を細胞特異的に過剰発現するように遺伝子操作したLPP3コンディショナルノックイン(cKI)マウス(2020年度文部科学省新学術領域先端モデル動物支援プラットフォーム・モデル動物作製支援)の作製に必要なドナーベクターを構築し、がん研究会がん研究所細胞生物部に送り、現在LPP3-cKIマウスの作製中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各肺構成細胞の単離方法が確立し、解析可能となった。LPP3を細胞特異的に過剰発現するように遺伝子操作したLPP3コンディショナルノックインマウスの作製が遅れている。現在、「2020年度文部科学省新学術領域先端モデル動物支援プラットフォーム・モデル動物作製支援」の支援を受けて、作製中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、LPP3を細胞特異的に過剰発現するように遺伝子操作したLPP3コンディショナルノックインマウスを作製中である。研究計画に則って、各肺構成細胞特異的LPP3コンディショナルノックインマウスを作製し、肺線維症におけるLPP3の役割を検討する。
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