研究課題
本研究では、IgG4関連疾患(IgG4-RD)の呼吸器病変におけるアレルギー関連の病態解明を目的として、IgG4-RDの呼吸器病変におけるアレルギー性炎症に関連する免疫環境を探求し、LATY136F変異マウス(LATマウス:IgG4-RDのモデルマウスとして既報)を用いて、その制御因子を探索することを計画した。その結果、①ヒトIgG4-RD患者の検体組織(顎下腺・肺等)において、自然免疫関連のToll様受容体(TLR)であるTLR7/9の発現を確認した。②ヒトIgG4-RDの気管支肺胞洗浄液において、2型免疫反応(Th2)の活性化があることを報告したが、ヒトIgG4-RDの血清においてもIL-5、IL-13、IL-10、IL-21の有意な上昇を認め、全身性にTh2優位の病態とそれらの抑制性サイトカインの上昇があることを確認した。③IgG4-RDのアレルギー性炎症と線維化の関連を探るため、細胞外マトリックスであるペリオスチンに注目して、ヒト血中ペリオスチンを測定し、その上昇を確認した。④ヒト病変組織(顎下腺・肺・皮膚等)にて、ペリオスチンと線維芽細胞活性化能をもつガレクチン3の発現を検討した。その結果、ペリオスチンはいずれの病変部位でも発現を認めた。ガレクチンは肺において強発現を認めた一方で、腺組織での発現は比較的弱く、臓器間に差がある可能性が示唆された。④LATマウスにおけるペリオスチン発現の検討では、肺組織のペリオスチンの発現は週令に伴って強くなり、老化が生じる16週頃には減弱する傾向が認められた。これらの結果から、IgG4-RDは全身性に強い2型炎症を認めており、ヒト及びマウス肺で発現を認めたペリオスチンは、アレルギー性炎症と線維化制御に関する指標となる可能性が示唆された。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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