研究課題/領域番号 |
19K08647
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
安尾 将法 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (20402117)
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研究分担者 |
花岡 正幸 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20334899)
北口 良晃 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (40447751)
曽根原 圭 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (40647260)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 早期肺癌 / 診断 / 超細径内視鏡 / 気管支鏡 |
研究実績の概要 |
本研究の概要は、近年の肺癌の個別化治療の方向性を考え、より大きな組織を確実に採取するために、太径気管支鏡+屈曲可能型太径ガイドシース挿入→ガイドシースに画質向上型超細径内視鏡を挿入し気管支の確実な選択および病変直視→生検鉗子挿入による組織採取を目指すものである。
前年度に計画変更した、「ガイドシースではなく内視鏡本体に屈曲機能を持たせた」試作内視鏡(外径1.0mm)を用いて、今年度は生体ブタに対して内腔観察を行う事とした。また昨年度の「今後の研究推進方策」に記載した、アブレーションカテーテルの研究も並行して行った。実施は2020年12月10日、神戸市にある神戸医療機器開発センター(MEDDEC)に於いて全身麻酔をかけたブタに対して内視鏡観察および焼灼実験を実施した。呼吸細気管支レベルの詳細な観察を行う予定であったが、内視鏡挿入中に画像描出不良となってしまい超細径内視鏡については当日の観察を断念するに至った。 一方、アブレーションカテーテルについては、目的の部位を超細径内視鏡によって観察することはできなかったが、X線透視と通常の気管支鏡+ガイドシース法を用いて肺の焼灼実験を行うことができた。様々な焼灼条件(時間、出力、温度など)で2頭のブタに対して9箇所の肺の焼灼を行った。2020年2月に日本ライフライン社の研究員とリモート会議を行い、7500~9000J(ジュール)の出力で3~5分程度の焼灼によって約2cmの範囲で焼灼が可能であることが判った。但し、周囲に出血を来した箇所が何カ所かあり、焼灼範囲をもう少し小さくする方が(ヒトの早期肺癌の焼灼には)良いと判断された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
3年間で臨床使用までを検討していたが、2019年9月の台風19号の影響および2020年からのCOVID-19流行によって、県をまたいだ内視鏡の実施が非常に困難となっている。2020年7月に実施する予定であった生体ブタに対する内視鏡観察および焼灼実験が12月になってしまったこと、その後3月までに再検する予定であったがCOVID-19の第3波、第4波のために現在までに再実験ができていない。 このような事情から臨床使用までのプロセスに遅れが出てしまっている。従って進捗としては内視鏡試作品作製は終了、摘出肺での観察は成功。生体動物での観察の1回目が失敗、焼灼は1回目としては成功。2回目の施行を待っている状況である。実際の内視鏡検査はどうしても特定の場所に他県からの移動を伴う実施者(内視鏡を開発している日本ライフラインの研究員や神戸医療機器開発センターの獣医師など)との協働が必要であり、COVID-19流行期に重なってしまい、研究の実施が滞りがちである。
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今後の研究の推進方策 |
現在COVID-19流行期にあり、県をまたいだ内視鏡実験の実施が通常時に比べて困難であるが、良いタイミングで再度、超細径内視鏡による観察と焼灼実験の両方を並行して行いたいと考えている。焼灼実験も並行して行う可能性が高く、太径ガイドシースよりも細径のガイドシースを用いて実施する可能性が高い。いずれにしても、内視鏡に屈曲機能を持たせている関係上、研究の実施に支障はない。コロナ禍において大変厳しい状況であるが、可能な限り研究を推進したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はCOVID-19の影響で、学会や打ち合わせの為の旅費の支出が皆無でした。このために12万円あまりの次年度使用額が出てしまいました。令和3年度もCOVID-19の影響がありそうですが、旅費分を保留しないで研究経費を使用する方向で計画的な運用をしたいと考えています。
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