研究課題
1. 肺移植を施行された間質性肺疾患患者のうち、59例に画像的なPPFE様所見を認めたが、病理学的なPPFE所見が確認できたのは28例だった。画像所見と病理所見に乖離の見られる症例では、気腔内の線維化や肺胞壁の弾性繊維増生が乏しかった。病理学的なPPFEを有する症例は、るいそう、air trapping、扁平胸郭が特徴であった。特発性PPFEと続発性PPFEを比較すると、続発性ではnon-specific interstitial pneumoniaパターン、閉塞性細気管支炎、肉芽腫が多く見られたが、画像所見や肺移植後の生命予後に違いはなかった。2. PPFEパターンおよびUIPパターンと病理診断された肺組織(PPFE7例、UIP8例)からRNAを抽出し、マイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現解析を施行した。PPFE群では106遺伝子で発現亢進(FC比>2)、47遺伝子で発現低下が見られた。発現が亢進した遺伝子にはADAMTS4、IL-6、selectin E、EGR3が含まれた。3. 脳死肺移植登録患者303例の移植待機予後を解析し、続発性PPFEの主たる原因である幹細胞移植後の晩期非感染性呼吸器合併症(LONIPC)(32例)の予後が、他の間質性肺疾患と同等であり、非間質性肺疾患よりも不良であることを示した。LONIPCs症例の待機中生存期間の中央値は43.1カ月で、なかでもPPFEを含む拘束性閉塞性移植片対宿主病(GVHD)、混合性GVHDは予後不良だった。4. PPFE同様に上葉優位の肺病変をきたすサルコイドーシスを対象に後ろ向きの観察研究を行い、経時的な呼吸機能(FVC、DLCO)の悪化が生命予後不良の予測因子であること、心臓超音波検査での心室中隔菲薄化が長期的な左室機能低下と関連することを明らかにした。
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Respiratory Investigation
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10.1016/j.resinv.2022.02.009
巻: 60 ページ: 385~392
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Histopathology
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