研究課題/領域番号 |
19K08649
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松本 久子 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60359809)
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研究分担者 |
伊藤 功朗 京都大学, 医学研究科, 講師 (40447975)
小熊 毅 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (50601324)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | microbiome / 重症喘息 / 混合性炎症 |
研究実績の概要 |
下気道での細菌定着と重症喘息病態との関連性の解明. 縦走的・包括的検討について、令和2年度は、1) 重症喘息レジストリを継続し、臨床所見・画像情報・保存血清を集積し、遺伝子多型解析に着手した。2) 気流閉塞のある(FEV1/FVC<0.7)喘息例(COPD合併を含む)の登録を終了し、喀痰microbiomeと各種臨床背景・喀痰炎症型との関係を横断的に解析した。対照群として含めたCOPDとの対比では、Bacteroidetes門とPorphyromonas属の占有率、慢性歯周病菌率が、喘息・ACO群に比しCOPD群で高く、年齢等で補正後も同様であった。全例解析にてFEV1<50%の高度気流閉塞群はα多様性が低下し、Streptococcus属の高占有率と関連した。また喀痰好中球増多はγ-Proteobacteria綱の高占有率と関連し、いずれも疾患等で補正後も有意であった。特に喀痰の顆粒球率から、乏炎症型、好酸球優位型、好中球優位型、混合性炎症型の4群に層別化したところ、γ-Proteobacteria綱、Haemophilus属は混合性炎症型で最も占有率が高かった。混合性炎症型における末梢血好酸球数の平均値は、喀痰好酸球優位型と同等であり、末梢血好酸球数高値例でも、喀痰細菌叢の変化を否定することはできないと考えられた。 以上、令和2年度は重症喘息レジストリの遺伝子多型解析に着手するとともに、気流閉塞のある喘息例(COPD合併を含む)における喀痰microbiomeと臨床背景・喀痰炎症型との関係についての横断的解析を行い、現在論文準備中である。また令和1年度にまとめた、下気道での黄色ブドウ球菌とSEへの感作、緑膿菌定着との位置づけを整理し現在論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究生が精力的に解析を行い、今後も大学院生が引き続き解析を行う予定である。ただし新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、新規に喀痰・唾液などの採取は困難である。
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今後の研究の推進方策 |
・重症喘息例の遺伝子多型の解析をすすめ、臨床病態、生物製剤への反応性などとの関係を解析する。microbiome解析研究にも参加いただいた方の検体については、microbiomeと細菌定着に対する宿主応答の遺伝的背景についての関係も解析する。 ・集積した喀痰におけるmicrobiomeについてAspergillusなどの真菌特異的PCRも行い、2型炎症マーカー、臨床病態との関係を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の蔓延のため唾液などの追加採取ができず、次年度使用額が生じた。今後は、すでに採取している血清サイトカインを網羅的に測定する。また喀痰中の真菌に対する特異PCRを行う予定である。
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