研究課題/領域番号 |
19K08652
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
河野 弘 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任准教授 (30771571)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 一細胞遺伝子解析 / 線維細胞 |
研究実績の概要 |
線維細胞は肺線維症における重要なエフェクター細胞とされる。 本研究では、一細胞RNAシークエンス法(RNA-seq)に着目し、私たちが独自に開発した肺線維細胞単離法と組み合わせることにより、線維細胞特異的な新規細胞表面マーカーを同定し、従来は困難であった生体内における肺線維細胞の機能解析を行うことを目的とする。 本年度は、ブレオマイシン誘導肺線維症モデルマウス由来の肺細胞を用いた一細胞RNA-seqを試みた。 ブレオマイシンを経気管内投与し、肺線維症を誘導したCol1a2-GFPレポーターマウス肺からCD45+ CD11b+ CD11c+ Gr-1intermediate GFP+細胞をセルソーターにて分取し、一細胞RNA-seqを行った。ソートした細胞由来の一細胞レベルでのcDNAをライブラリー調整し、RNA-seqを行い、Cell Rangerで解析した。t-SNEによるクラスタリングを行ったところ、いくつかに分けられるマクロファージ集団の中にコラーゲン遺伝子を発現する亜集団を同定した。現在、同亜集団特異的に発現する細胞表面マーカーを探索中である。コラーゲン遺伝子を発現するマクロファージ亜集団は線維細胞を含む可能性が高く、本研究成果は線維細胞特異的マーカーの同定につながり、その後の詳細な線維細胞の機能解析により、肺線維症に対する新たな治療標的分子を同定しうる点で意義、重要性が高いと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析対象である肺線維細胞を含むと思われる細胞集団の一細胞RNA-seqデータを入手することができた。t-SNEによるクラスタリングを行ったところ、期待どおり、いくつかに分けられるマクロファージ集団の中にコラーゲン遺伝子を発現する亜集団を同定することができた。同亜集団特異的に発現する細胞表面マーカーを見いだすことができれば、当初の計画どおりに研究を進めることが可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
コラーゲン遺伝子を発現するマクロファージ亜集団に特異的に発現する細胞表面マーカーの同定を試み、そのマーカーにより線維細胞を特定できるか評価する。 同定したマーカーを用いることにより、線維細胞の分化抑制薬であるペントラキシン2を投与したブレオマイシン誘導肺線維症モデルマウス由来の線維細胞を分取する。そして、同細胞を用いた一細胞RNA-seqを行うことにより、線維細胞の分化に関わる分子の同定を試みる。
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