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2020 年度 実施状況報告書

ホモシステイン誘導小胞体ストレスは慢性閉塞性肺疾患の病態に関与しているか?

研究課題

研究課題/領域番号 19K08658
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

柴田 陽光  福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60333978)

研究分担者 黒谷 玲子  山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (00453043)
井上 純人  山形大学, 医学部, 講師 (70466621)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードCOPD / ホモシステイン / 喫煙 / 小胞体ストレス
研究実績の概要

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の主な原因は喫煙であるが、発症率は喫煙者の20%程度である。そのため、喫煙感受性を決定する遺伝子の存在が想定されているが、α1-アンチトリプシン欠損症を除いては確定したものはない。しかし、喫煙によってもたらされるアポトーシスによる細胞死はCOPD発症に中心的な役割を演じている。我々の疫学研究によって、高ホモシステイン血症は呼吸機能の低値と関連しており、男性喫煙者において高ホモシステイン血症は呼吸機能の経年低下と関連することが示されている。さらに高ホモシステイン状態は生体において、小胞体ストレスを誘導すると考えられている。以上から、高ホモシステイン血症における喫煙曝露は、肺胞上皮細胞のアポトーシスを増加してCOPDを進展させる可能性が考えられた。昨年度、我々は培養肺細胞を用いた基礎実験による
検討を行い、ホモシステインとタバコ抽出液を添加して培養した培養肺細胞ではアポトーシスが増加した。さらに小胞体分子シャペロンであるGRP78やアポトーシスを誘導するCHOPの発現が増加することを示した。本年度はその他の小胞体ストレス蛋白質(IRE1alpha, eIF2alpha, ATF6)の発現を追加検討した。リン酸化IRE1alpha、リン酸化eIF2alpha、ATF6はホモシステインとタバコ抽出液の刺激でレベルが亢進することが確認された。次に小胞体ストレス緩和物質であるビタミンB12が、ホモシステインとタバコ煙刺激による小胞体ストレスを緩和するかを検討した。ビタミンB12は、ホモシステイン/タバコ煙抽出液の共刺激による GRP78, CHOP, IRE1alpha, eIF2alpha, ATF6の発現増加を有意に抑制することが示された。すなわち、ビタミンB12はタバコ煙による肺細胞における小胞体ストレスの緩和作用を有することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

培養肺細胞を用いた基礎的な検討において、小胞体ストレスが増加し、アポトーシスによる細胞死も増加させており、その機序が示された。
また、動物実験もおおむね順調に進行している。

今後の研究の推進方策

マウスを用いた動物実験を実施する。メチオニン投与下で小胞体ストレスを増加させた状態に喫煙負荷を施し、メチオニン非投与下での喫煙負荷時との肺気腫形成の程度が異なるかどうかを検討する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症流行のため、予定されていた学会への参加ができなかった。また、計画していた実験も一部行えなくなった。
次年度に動物実験を展開し、研究を進める予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Thymus and activation-regulated chemokine (TARC/CCL17) predicts decline of pulmonary function in patients with chronic obstructive pulmonary disease2021

    • 著者名/発表者名
      Machida Hiroyoshi、Inoue Sumito、Shibata Yoko、Kimura Tomomi、Sato Kento、Abe Koya、Murano Hiroaki、Yang Sujeong、Nakano Hiroshi、Sato Masamichi、Nemoto Takako、Sato Chisa、Nishiwaki Michiko、Yamauchi Keiko、Igarashi Akira、Tokairin Yoshikane、Watanabe Masafumi
    • 雑誌名

      Allergology International

      巻: 70 ページ: 81~88

    • DOI

      10.1016/j.alit.2020.04.004

    • 査読あり
  • [学会発表] 高ホモシステイン血症における喫煙曝露は小胞体ストレスを介して肺胞上皮細胞のアポトーシスを増加し,肺の気腫性変化を増強する2020

    • 著者名/発表者名
      中野寛之1),邨野浩義,町田浩祥,佐藤建人,佐藤正道,東海林佳兼,五十嵐朗,井上純人,渡辺昌文,柴田陽光
    • 学会等名
      第60回日本呼吸器学会学術講演会

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公開日: 2021-12-27  

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