研究課題/領域番号 |
19K08658
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
柴田 陽光 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60333978)
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研究分担者 |
黒谷 玲子 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (00453043)
井上 純人 山形大学, 医学部, 講師 (70466621)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | COPD / ホモシステイン / 喫煙 / 小胞体ストレス |
研究実績の概要 |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の主な原因は喫煙であり、アポトーシスによる細胞死はCOPD発症に中心的な役割を演じている。高ホモシステイン血症は呼吸機能の低値と関連し、喫煙者において高ホモシステイン血症は呼吸機能の経年低下と関連する。さらに高ホモシステイン血症は生体において、小胞体ストレスを誘導すると考えられている。以上から、高ホモシステイン血症における喫煙曝露は、肺胞上皮細胞のアポトーシスを増加してCOPDを進展させる可能性が考えられた。しかしこれまでに、これらの仮説は実証されていない。本研究では、培養細胞実験と動物実験を行い、本仮説の実証を試みた。 細胞実験:A549細胞(ヒト肺胞上皮細胞株)をホモシステインとともに培養し、タバコの煙抽出物(CSE)に曝露して、細胞の生存率とERストレスに関連するタンパク質の発現を観察した。Hcy濃度が増加するにつれてアポトーシス細胞が増加し、さらにCSEによって増強した。 ERストレスマーカーのタンパク質発現レベルは、同時刺激後に有意に増加した。ビタミンB12と葉酸の補給にてホモシステインを減少させるとERストレスマーカーの改善が観察された。 動物実験:C57BL6マウスにメチオニン含有水を与えることで、高ホモシステイン血症が惹起された。メチオニン含有水もしくは通常水(対象群)をマウスに与えながら、タバコ煙を6か月曝露した。肺組織における気腫性病変は、対照群と比較して、メチオニン投与群でより重度であった。さらにメチオニン投与群にてERストレスを介する肺胞細胞アポトーシスの増強が観察された。 以上から喫煙による肺気腫形成には、高ホモシステイン血症を介するERストレス増強が関連していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞実験と動物実験を実施して、仮説に基づく結果が証明された。
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今後の研究の推進方策 |
研究内容を論文にまとめ、論文投稿中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在論文投稿中であり、オープンアクセス化する代金に使用する予定である。
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