研究実績の概要 |
令和4年度は令和3年度に引き続きCOVID-19の蔓延の影響で、患者集積に難渋を来した。そこで、主にプログラム作成を行なった。 セデンタリー時間は身体活動時間と独立したCOPDの予後規定因子と報告され、COPD患者の管理上で重要な指標のひとつではあるものの、その評価には様々な困難さを伴っている。従来我々が使用してきた3軸加速度計(Active Style Pro HJA-750C; オムロンヘルスケア)では、1-2 METs, 2-3 METs, 3-4 METsなど、1METs範囲毎の強度の活動時間が算出されるため、1.5 METs以下(実質は1-1.5 METs)の強度で定義されるセデンタリー行動の時間を抽出することが困難である。そこで、加速度計から得られた生データから、1-1.5 METsの時間のみを抽出し、セデンタリー時間を算出できるプログラムを作成した。また、令和3年度に検討したセデンタリーにおける座位・臥位時間についての結果をJ Clin Med誌に投稿し採択された。 4年間の本研究期間で、評価方法の精度向上に対して、気温が身体活動性に及ぼす影響の検証、セデンタリー時間における座位及び臥位時間の関係の明確化、加速度計非装着時間の検出プログラム作成、セデンタリー時間抽出のためのプログラムの作成などを実施し、個別化治療の確立に対して、COPD患者の歩数予測式作成、個別目標値設定法の構築、目標値提供の歩数増加効果、モチベーション向上を目指したフライングディスク・アキュラシー競技の導入と安全に実施するための口すぼめ呼吸の効果の検証などをおこなった。この結果、COPD患者の身体活動時性に対する評価法の精度向上がなされ、身体活動性向上のための個別化治療法を確立することができ、当初の研究目的をほぼ達成することができたと考える。
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