研究課題/領域番号 |
19K08667
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
近藤 征史 藤田医科大学, 医学部, 教授 (00378077)
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研究分担者 |
山本 直樹 藤田医科大学, 共同利用研究設備サポートセンター, 准教授 (00267957)
星 雅人 藤田医科大学, 保健学研究科, 講師 (40633996)
今泉 和良 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50362257)
佐藤 光夫 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (70467281)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 肺癌 / トリプトファン |
研究実績の概要 |
(動物モデルにおけるキヌレニン代謝産物の検討) IDO1下流の酵素でキヌレニンを代謝する酵素群の解析を行った。その一つでありKynurenine 3-monooxygenase(KMO)に注目して、Kynurenine 3-monooxygenase(KMO)の遺伝子欠損マウス(KMOKO)を使用して、腫瘍肺転移モデルを作成した。そのマウスにおいては、高キヌレニン血症を生じているが、移植した複数種の腫瘍細胞の増殖を抑制していた。さらに、KMOKOマウスにキヌレニン代謝産物である3‐ヒドロキシキヌレニン(3-HK)やキサンツレン酸(XA)を投与すると腫瘍細胞の増殖が活性化される傾向があった。これらの結果は、キヌレニン以外の代謝物の制御が、腫瘍の増殖に影響することを示唆していた。さらに、このKMOを阻害できる既存の薬剤やアミノ酸を見出し、単独投与および抗PD-1抗体との併用投与により、XAを生成するkynurenine aminotransferase(KAT)1を特異的に阻害することを明らかにした。 (iPS 細胞におけるトリプトファン代謝物と酵素測定リンパ球系への分化)iPS細胞は、炎症細胞細胞に分化誘導させて、トリプトファン代謝酵素遺伝子の測定を試みている。また、KAT1の阻害効果のある薬剤の影響を検討している。現状では、分化誘導が均一ではなく、測定をくりかえしている段階である。 (肺癌患者の血液中のTrp代謝産物の測定)20症例において、治療前に血液中にXAと3NKを測定した。XAの測定値は感度以下から16nM までとなり、感度以下の症例が4例、10nM以上の症例が4例であった。特に、PD―L1の発現や腫瘍縮小効果との直接の関連は認めなかった。また、KMOの活性を推定するために、XA/3HKの値で分析したが、これも臨床な因子との相関は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19に流行により、それに関する臨床研究に注力する必要があった。その成果としては、2篇の論文 (Clin Infect Dis. 2020 Sep 28:ciaa1470. doi: 10.1093/cid/ciaa1470. Antimicrob Agents Chemother. 17;64(12):e01897-20.2020.)を発表した。肺癌の診療にも影響があり、検体の解析が遅れている。そのためにやや研究の進捗がおくれている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床検体の測定を継続的に、実施して、トリプトファンの代謝をターゲットとした新規の治療法の開発に努める。可能ならば、次期以降に臨床試験が実施の準備を行う。 IPS細胞での解析をさらにすすめて、安定した解析ができるような策定系を樹立する。 癌細胞に対するトリプトファン代謝の影響もさらに検討していく要諦である。
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