研究課題
近年、糖尿病性腎臓病(DKD, diabetic kidney disease)の疾患概念が提唱されており、これは狭義の糖尿病性腎症を包含した概念である。従来の糖尿病性腎症に変わって今後の腎不全の主要疾患となる可能性があるため、新規の治療法開発が急務である。トレフォイルファクター(TFF)ファミリーは消化管粘膜上皮を含む各種上皮細胞から産生される粘膜保護蛋白であり、TFF1~3に分類される。なかでもTFF3は腎尿細管上皮に発現し、腎障害時に尿中排泄が増加する。尿中TFF3濃度は、既知の進行因子である尿中アルブミン排泄と相関した。さらに正常群よりも微量アルブミン尿群で尿中TFF3の排泄が亢進し、尿中TFF3は尿細管障害マーカーである尿中α1-MGと有意相関した。DKD早期において尿細管障害の指標として尿中TFF3が上昇することが示唆された。さらに培養腎尿細管上皮細胞を用いて、TFF3発現亢進に至る細胞内シグナル伝達機構の検討を行っており、その機構の詳細については今後更なる検討が必要である。
2: おおむね順調に進展している
腎臓病におけるTFF3の発現動態の特徴を明らかにし、その機序の検討まで進めることが可能であった。
研究は概ね順調に経過しており、今後は培養腎尿細管上皮細胞を用いて、TFF3の上昇機序に関与する細胞内シグナル伝達機構の解明に重点を置いて、研究を推進する。今後、新型コロナウイルス感染症の拡大状況により、研究活動の制限がなされる可能性があるが、当大学において許可される範囲内で柔軟に対応して進める。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち査読あり 18件、 オープンアクセス 18件) 図書 (4件)
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