研究課題/領域番号 |
19K08681
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
安達 政隆 熊本大学, 病院, 講師 (90398206)
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研究分担者 |
向山 政志 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (40270558)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 尿中トロンビン |
研究実績の概要 |
1)腎生検を施行する種々の腎疾患患者から同意を得て尿検体の収集を開始し、現在まで約100例分の尿を回収し、保存した。これらの尿の一般尿生化学検査を提出し、現在、基本となる生化学データを収集中である。 2) 尿中トロンビン測定用ELISAプレートを用いて、尿中トロンビン活性が高値となる半月体形成性糸球体腎炎患者約10症例および糖尿病性腎症患者約10症例の尿検体での尿中トロンビン濃度を定量したところ、尿中トロンビン排泄量の増加を確認した。 3)1枚の尿中トロンビン測定用ELISAプレートで標準溶液、管理検体、患者検体を同時に測定するため、1枚で約20検体分しか測定できず、昨年同様、現存するELISAプレートを全て消費した。そこで2種類のトロンビン抗体含有腹水約700μLからトロンビン抗体をスピンカラムで精製し、精製後にトロンビン抗体量を測定した結果、それぞれ約3mgの抗体量の回収を確認した。さらにウエスタンブロットや銀染色を行い、トロンビン抗体の精製度についても確認した後、精製したトロンビン抗体をプレートに固相化し、現在、新たにトロンビン測定用のELISAプレートを作製中である。 4)尿中トロンビン排泄量の増加が糸球体での炎症を反映したものかを検討するため、トロンビンを測定した尿検体でのIL-6濃度を測定し、尿中排泄量の増加している症例を認めた。現在、尿中トロンビン排泄量と尿中IL-6排泄量の相関を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
腎疾患患者の尿検体収集はある程度順調に進んでいるが、トロンビン測定用の新たなELISAプレート作製に時間を要しているため、患者尿検体のトロンビン測定が想定よりやや遅れている。 作製したELISAプレートの有効使用期限が2ヶ月程度と短く、大量にプレートを作製しても大量の尿検体の収集・測定処理が2ヶ月では難しいため、プレート作製枚数を数枚程度と限定しながら作製している。そのため効率が悪く時間を費やす結果となっている。
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今後の研究の推進方策 |
収集する尿検体数を一定数確保するとともに、予め、測定尿検体を遠心等を含めた前処理後にストックしておく(現在は、回収尿をそのままストックしている)。その測定数に見合うトロンビン測定用ELISAプレートを作製し、作製後に速やかに効率良く尿中トロンビン排泄量の測定を行う必要があると考えている。
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