研究課題/領域番号 |
19K08692
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
勝野 敬之 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (60642337)
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研究分担者 |
丸山 彰一 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362253)
坪井 直毅 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (50566958)
伊藤 恭彦 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60402632)
三嶋 秀行 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70520881)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 血栓性微小血管症 / 溶血性尿毒症症候群 / 血栓性血小板減少性紫斑病 / 膠原病 / 抗リン脂質抗体症候群 |
研究実績の概要 |
近年、血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy : TMA)と診断される症例は増加傾向にありその原因も多様である。 わが国のTMAの実態を調査するため、日本腎臓学会による腎生検レジストリー(J-RBR)のデータを活用した横断研究を実施した。2007年から2017年の10年間で38,495例の腎生検症例が登録されており、そのなかでTMAと診断された症例は152症例(0.39%)であった。TMAの基礎疾患としては、溶血性尿毒症症候群(HUS)/血栓性血小板減少性紫斑病(TTP) 16.4%, 膠原病 17.1% 薬剤性16.4 %が多い結果であった。このほかにも臓器移植関連、高血圧、妊娠、悪性腫瘍などTMAの原因は多彩であった。疫学的には小児から高齢者まで幅広くTMAを発症していた。小児はHUS/TTPが有意に多いが、成人期以降では二次性TMAの頻度が増加する傾向が認められた。小児・成人・高齢者の比較では、高齢者で有意に腎機能が低下しており、糖尿病や高血圧などによる潜在的な内皮障害がTMA病態を促進させて可能性が示唆された。この結果はClin Exp Nephrol. 2020 May 15. doi: 10.1007/s10157-020-01896-7にて報告した。二次性TMAのなかでも頻度の高い膠原病関連TMAに関しては、抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome : APS)に着目し、APSにおける腎障害を報告した (J Clin Rheumatol. 2019 Nov 8. doi: 10.1097/RHU.0000000000001173)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在は強皮症に関連したTMA病態である強皮症腎クリーゼの予後と治療効果に関する臨床研究を実施している。二次性TMAにおける補体活性系および制御系の関与については検体収集中であり、集まり次第C5b-9などの因子を測定していく予定である。二次性TMAの動物モデルの作成は確立しておらず進歩状況としてはやや遅れている。抗悪性腫瘍薬関連TMAに関してはレジストリーに該当する症例が予想を下回っており遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
全身性強皮症を中心とした膠原病に関連したTMA病態の予後改善のため、臨床予後調査と治療効果に関する臨床研究を進める。薬剤性TMAに関しては、抗悪性腫瘍薬関連TMA発症の実態調査のため症例のレジストリーを進めていく。二次性TMAの動物モデルの作成についてはさらなる検討が必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染蔓延により国際学会への参加が減少したため。
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