研究課題/領域番号 |
19K08698
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
矢尾板 永信 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00157950)
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研究分担者 |
藤中 秀彦 独立行政法人国立病院機構新潟病院(臨床研究部), 臨床研究部, 臨床研究部長 (20447642)
片野坂 友紀 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (60432639)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 腎臓 / ポドサイト / 細胞傷害 / TRPV2 / 培養細胞 / ノックアウト |
研究実績の概要 |
腎糸球体の不可逆性病変形成は、慢性腎不全の主要な原因となっている。糸球体の不可逆性病変形成には、糸球体上皮細胞(ポドサイト)傷害が深く関わっている。したがって、傷害に対しポドサイトがどのように反応するかを理解することは、慢性腎不全の進行を阻止するために必要不可欠である。本研究では、ポドサイトが傷害ストレスをどのように感知しているのかを明らかにしようとしている。細胞が侵害刺激を感知する陽イオンチャネルの多くは、Transient Receptor Potential (TRP)スーパーファミリーに属する。その中でもTRPV2がポドサイトに発現していることを、初代培養細胞を用いた遺伝子発現、腎組織を用いた免疫染色で見出している。 TRPV2の生理的役割、慢性腎不全での役割を明らかにするために、培養ポドサイトでの検討とノックアウトマウスの作成を行っている。培養細胞では、分化形質を培養でより良く安定して再現するための培養条件の検討を行い、TRPチャネルを介して細胞が反応しうるかどうかをみるために、TRPV1-3を活性化するジフェニルボリン酸2-アミノエチルと低浸透圧刺激で細胞内Caイオンの濃度変化を調べた。その結果、有意な細胞内Caイオンの濃度変化を認め、TRPV2が関わっている可能性が示された。ノックアウトの作成では、loxPを挿入したTRPV2の遺伝子改変マウスの精子を得て、体外受精を行い、ポドサイト特異的に発現するNphs2-CreERT2と掛け合わせ、双方の遺伝子を持つマウスを得つつある。これによって、タモキシフェン誘導型のポドサイト特異的TRPV2ノックマウスの実験が可能になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載したとおり、腎臓組織切片、単離糸球体、培養細胞でTRPV2の存在を確かめることができた。また、TRPV2のノックアウトマウスも順調に交配が進んでいるため、順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
TRPV2が機能していること確かめるために、培養細胞での特異的遺伝子発現の抑制を行う。また生体内でのTRPPV2の働きを知るためにノックアウトマウスを完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:実験動物を用いた実験が主である。そのため、一回一回の実験を一定の期間内に行う必要があり、その費用もまとまって必要である。次年度使用額が生じた理由は、残った金額が実験には不足しているため、次年度の研究費と合わせて、使用するためである。 使用計画:ノックアウトマウスが一定数を超えたところで、タモキシフェン投与の実験を行う。
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