研究課題
急性腎障害(acute kidney injury; AKI)は、慢性腎臓病の原因としても重要である。本研究は、急性腎障害の慢性障害への移行を阻止することを目標に、修復機序の解明を目指した研究である。本研究の発想は、“修復は発生を模倣する”という考えをもとにしたものであり、腎障害の修復過程と発生過程を比較しながら、研究を進めた。本年度は疾患特異的iPS細胞から腎系譜細胞への誘導によるサンプルからCAGE法およびChip-Seq解析の解析を進め、修復に関わると考えられる候補分子を同定した。くわえて、マウス胎仔腎のオープンデータベースを用いた解析からその絞り込みも行った。また、動物実験では、マウス虚血再還流モデルを施行し、腎組織およびRNAサンプルを用いて,疾患特異的iPS細胞およびマウス胎仔腎のオープンデータベースを用いた解析および,尿細管上皮細胞を用いた低酸素ストレス後の細胞増殖期に見られる経過中の候補分子の発現推移を確認した。Functional Annotation of the Mouse/Mammalian (FANTOM)データベースの解析などから,17遺伝子(28プロモータ領域の活性)を確認した。また,疾患特異的iPS細胞を含めたCAGE解析などから,最終的に,PBX1, POSTN, ITGA9の3遺伝子をPAX2関連の再生・修復に関する因子として同定した(Sci Rep. 2021;11(1):9123. )。候補分子は,これまでの報告では腎障害や修復への関与は報告されていないものも含まれており,直接的な修復に果たす意義は更なる解析が必要である。また,組織障害からの修復に,細胞周期の調節が重要であり,それらに関する分子の挙動も一連の研究から確認された(Kidney International; in press)。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Kidney International
巻: - ページ: -
10.1016/j.kint.2022.03.022
Scientific Reports
巻: 11 ページ: -
10.1038/s41598-021-88743-1