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2020 年度 実施状況報告書

慢性腎臓病患者における腸内細菌叢の変化とその改善による新規治療戦略の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K08700
研究機関名古屋大学

研究代表者

加藤 佐和子  名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (80625757)

研究分担者 石本 卓嗣  名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00534835)
丸山 彰一  名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362253)
小杉 智規  名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (90584681)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード腸内細菌叢 / 慢性腎不全 / 細胞老化 / コホート研究 / 炎症 / 血管疾患
研究実績の概要

現在進行中の日本人の新規透析導入患者(CKD stage5D)のコホート研究NICE-GENE study は、本年度さらに20名の新規登録をおこなった。血液検体を用いて循環白血球よりDNAの抽出を行った。合わせて、患者背景・臨床情報(腎機能、炎症、栄養状態、心不全、および動脈硬化指標等)を収集し、データーベースの更新を行なった。
そこで今回、日本人の透析導入時、導入1年後と約10名の健常人で、循環白血球に取り込まれた細菌由来のDNA断片の解析を、抽出DNAを用いて予備解析を行なった。透析導入時、導入1年後の細菌叢解析結果は大きく健常人と離れていた。
多様性解析において、透析導入時、導入1年後はいずれも健常人と比較し有意に多様性が増している結果が認められた。また、2次元の多様性解析(Beta Diversity)においても、透析導入患者の細菌叢のクラスターは健常人のものと異なる分布を認めた。とくに、炎症と関与している鍵となる細菌叢属(Key Genera)においてPropionibacterium (Il-6,IL-8をリリースすると言われている)の比率に異差がある可能性が示された。
しかしながら、年齢によって生活環境(合併症、食事、飲酒、喫煙などの嗜好)がそもそも異なることが知られており、腸内をはじめとする細菌叢は大きく変わるが、患者と今回コントロールとした健常人がそもそも年齢に大きな隔たりがあることがグラスゴー大学の共同研究者より指摘された。そのため、今後、グラスゴー、ストックホルムの腎不全患者の比較をする前に、日本人の腎不全でない同年齢層のコントロール群を立てることが必要と判断された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

概要に示されているとおり、日本人の患者と同年代のコントロール(健常人ー少なくとも末期腎不全でない)のDNAを収集することになった。COVID19対応もあり新規にコントロールとして登録する候補者を確保する集会などの開催は難しく、方法を検討中である。
現在コントロール群となるDNAをすでに保持している施設をあたり、入手することを考えている。
また、COVID19対応のため、Dr. Lindholm、Dr. Stenvinkel(カロリンスカ研究所、スウェーデン)、Dr. Shies (グラスゴー大学、英国)との情報交換に支障をきたしている。

今後の研究の推進方策

引き続き、日本人新規血液透析導入患者の登録を行い、DNA等のサンプルを確保と、患者背景・臨床情報(腎機能、炎症、栄養状態、心不全、および動脈硬化指標等)の収集を進める。死亡時、心血管系疾患発症時、感染症による入院の記録を行う。日本人の患者と同年代のコントロールの検体の収集を行う。できる限り、生活習慣などの背景・合併症などの臨床情報も収集に努める。今回の検討では使用できない可能性もあるが、健常人と末期腎不全患者の異差を経時的に捉えられるよう、保存期腎不全患者の登録はできないか模索する。
国際共同研究機関と連携をとりつつ、循環白血球に取り込まれた細菌由来のDNA断片の解析、血清中のTMAOとその前駆物質(コリン、ベタイン、TMA)の解析、テロメア長、DNAメチル化の解析を進められるよう調整を図る。

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公開日: 2021-12-27  

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