現在、透析患者の原疾患の第一位が糖尿病性腎臓病で約40%を占めている。また、糖尿病性腎臓病の重症化に伴い心血管イベントの発症リスクが高まっていく。微量アルブミン尿が糖尿病性腎臓病の早期指標として広く臨床の現場で用いられているが、アルブミン尿だけでは重症化指標として十分ではないことが明らかで、新たなバイオマーカーが望まれている。現在、本研究課題で測定したNAD、NADH、1-MNAの3代謝産物と臨床検査データならびに経過観察研究で得られている腎・心血管疾患発症との関連を検討しているが、尿中NAD代謝産物の排泄量が病態や予後と関連することが明らかになれば、今後の個別医療に貢献できると期待される。
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