研究課題/領域番号 |
19K08708
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
田中 希尚 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60533362)
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研究分担者 |
古橋 眞人 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20563852)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | FABP4 / 慢性腎臓病 / 脂質代謝異常症 / 脂質シャペロン / 糸球体内皮細胞 / 糸球体上皮細胞 / 尿バイオマーカー / lipid nephrotoxicity |
研究成果の概要 |
腎生検コホートにおいて尿FABP4排泄量は腎機能と尿蛋白量に関連し、1年後の腎機能低下に関連した。 一般住民コホートでは、LDLコレステロール高値は男性の経時的な腎機能低下度と関連し、CKD発症の危険因子であった。IgA腎症とその動物モデル(gddY)の腎組織解析では糸球体内にFABP4新規発現が認められ、その発現量は尿FABP4排泄量と関連した。細胞実験において培養腎糸球体内皮細胞でFABP4は血管内皮増殖因子により誘導され、細胞外への分泌が認められた。培養糸球体上皮細胞へのFABP4刺激で炎症性サイトカインと小胞体ストレス遺伝子発現亢進が認められ、抗FABP4抗体にてその効果が減弱した。
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自由記述の分野 |
腎臓内科学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脂質代謝異常は腎障害の原因である。本研究では障害された糸球体に脂質シャペロンの一つであるFABP4の新規発現が誘導され、尿FABP4排泄量は糸球体FABP4発現量を反映することが、その分子生物学的メカニズムの一端を含め明らかになった。また尿FABP4排泄量は糸球体障害マーカーとして腎臓病早期発見のみならず、腎疾患症例の診断予測ならびに腎障害進行予測に有用である可能性が示され、今後の腎診療に対する役割が期待される。心血管疾患発症や新型コロナウイルス感染症重症化に関わる肥満などの代謝異常と腎臓病は現代人の重要な公衆衛生上の課題であり、FABP4が介在する代謝異常と腎障害の解明には社会的意義がある。
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