研究課題/領域番号 |
19K08710
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研究機関 | 静岡県立静岡がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
佐藤 冬樹 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (60400131)
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研究分担者 |
村垣 泰光 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (40190904)
藤本 勝巳 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (40294566)
Bhawal Ujjal 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (50433339)
及川 恒輔 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70348803)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 時計遺伝子 / DEC1 / 慢性腎不全 |
研究実績の概要 |
DEC1発現を剖検腎標本で解析した。正常腎と比べ、萎縮、慢性腎不全、糖尿病性腎症や慢性腎盂腎炎症例などでは、尿細管におけるDEC1発現は免疫組織化学的に減少していた。一方でリン酸化AMPKは増加していた。また、ASMAやvimentin発現は周囲間質組織で発現が増加していた。マウス腎組織でも、老化とからめてDEC1発現を解析した。免疫組織化学的に、老化したマウスの腎組織ではDEC1とp53発現が増加した。老化モデルマウスklo/kloでは、初期の週齢マウス腎ではコントロールと比較してDEC1発現は変化しないが、7週齢マウスの腎ではDEC1発現は顕著に減少した。ASMAは予想どおり、7週齢マウスで発現が増加した。これらの現象はwestern blottingやreal-time PCRでも同様の結果が確認された。DEC1と同じ時計遺伝子であるbmal1は発現変化がみられなかった。Klo/kloマウスで再度、日内リズム解析をsuperMexで行ったところ、amplitude、average counts/min、total countsがすべてにおいて有意に減少していた。これらのことから高齢や老化マウスは日内リズムに異常が生じるが、全ての時計遺伝子が影響をうけるわけではなく、特異的に影響されるように思われる。また、腎機能の低下、腎疾患とも関連していると想定される。興味深いことに、Klo/kloマウスでリン酸化AMPK発現のリズムにも異常が生じたことが示唆され、グルコース代謝も高齢や老化マウスの日内リズムに関与していることが考えられる。DEC1はリン酸化AMPKをLKB1を介して制御するため、本研究でもDEC1がpAMPKを介してこれらの現象を制御している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分子細胞学的実験や免疫組織化学的解析はほぼ順調に進んでおり、DEC1発現の意義がみいだせつつある。
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今後の研究の推進方策 |
DEC1発現をより詳細なタイムポイントでサンプリングした検体で解析するとともに、DEC2発現も解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で、免疫染色などで追加実験が必要な抗体などが届かなく、期間内に間に合わそうになかったので。
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