研究実績の概要 |
近年、胎児期から小児期の生活習慣が後の生活習慣病発症リスクに直結するという「成人病胎児期発症説(DoHaD説)」が提唱されており、慢性腎臓病(CKD)の発症にも関与している。CKDの早期指標として尿中アルブミンが知られている。本研究では、3歳児における尿中アルブミン排泄の増加に、胎内環境や小児期の生活習慣がどのような影響を与えるのかについて検討した。2017年10月から福岡県朝倉郡筑前町、うきは市において3歳児健診で採取した尿のアルブミン/クレアチニン比の測定を行った。また3歳児における尿中アルブミン/クレアチニン比(UAE)の分布とそのリスク因子の解析を行った。 2023年11月までの研究登録者数は1227人であり、UAEの中央値は9.4mg/g.creであった。UAE≧30mg/g.creであったのは58人(4.7%)であった。
多変量logistic回帰分析では微量アルブミン尿のリスク因子は母親の妊娠前のBMI高値(OR1.14;95%CI, 1.07-1.21)と有意な関連を認めた。3歳児の微量アルブミン尿の発症に母親の妊娠前の肥満が関与している可能性が示唆された。
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