研究課題/領域番号 |
19K08718
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
滝山 由美 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (00396350)
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研究分担者 |
中村 匡徳 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20448046)
世良 俊博 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40373526)
西川 祐司 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90208166)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | DOHaD / 腎糸球体イメージング |
研究実績の概要 |
1. 胎内栄養環境マウスモデル:C57BL/6J 雌マウスを交尾後から出産時まで、①通常食、②高脂肪食で飼育の2群を作成し、4週齢離乳時よりは、両群仔マウスとも通常食にて飼育した。各実験には、各群の胎生期(胎生14.5日目)、成体期(10~33週齢)の雄仔マウスを用いた。 2. 生理学的、生化学的評価:胎生期高脂肪食群マウスは、胎生期通常食群に比較して、摂食量が増加しているにも関わらず、空腹時血糖は有意に低かった。更にNEFA、ALTは著明に高値を呈していた。体重、収縮期血圧、尿中アルブミン値に両群間で有意差は認めなかったが、血清クレアチニン値は高脂肪食群で有意に低かった。胎生期高脂肪食群マウスにおいて、脂質代謝異常、肝機能障害、腎過剰濾過の合併が示唆された。 3.腎組織学的検討:高脂肪食群マウスでは4週齢時、尿細管細胞内に脂肪滴沈着と思われる空胞形成を認め、15週齢では腎糸球体硬化病変、腎内動脈硬化病変を認めた。 4.胎生期、成体期腎臓の放射光CT撮影:①胎仔マウスの位相差CT撮影:胎生14.5日目の胎仔マウスを胎盤とともにCT撮影を施行した。画素サイズ2.4μm。1サンプル当たり1時間、1,575スライスで撮影した。②成体期マウス腎臓摘出標本の吸収CT撮影:生後 10週齢、30週齢マウス腎臓を硫酸バリウム造影剤を灌流後摘出し、温度モニタリング下凍結状態でCT撮影を行った。画素サイズ15.5μm。X線エネルギー35 keV。1サンプル当たり5分間、1,000スライスのCT画像を撮影した。③統計学的定量的評価:上記方法により得られたサンプルの位置情報(x、y、z座標軸)とCT値からフィルタ補逆投影法画像を用いCT画像を再構築した。腎糸球体の描出にあたっては、3D可視化解析システム amiraを用い抽出を行った。現在、糸球体の総数・体積・分布、腎体積についての解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成31年本研究計画が採択後、HFD-induced Fetal origin of adult disease (HFOAD)作成を開始し、2020年2月までに、胎生14.5日(胎生期)、1週齢(新生仔期)、4週齢(離乳期)、10、15、30週齢(成体期)のマウスについて、おのおの生理学的・生化学的・組織学的に検討を進めている。 また、HFOADマウスの放射光CT撮影は、2020年2月に撮影を終了し、現在イメージング解析中であり、平成31年度実験計画予定通りである。エピジェネティック解析については、組織学的検討結果などから、検討対象期を選定し、開始する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画2年次(令和2年度)は、HFOADマウスに低用量ストレプトゾトシン(50 mg/kg;Sigma Chemical, St Louis, MO, USA)を連日5日間腹腔内投与により糖尿病を誘発し、糖尿病状態による糸球体の数・容積・分布についての影響を、生理学的・生化学的・組織学的検討とともに、放射光CT撮影を行い、定量的検討を進める予定である。 また、本年度は、前年度予定のエピジェネティックス解析を、研究協力者である金沢大学学際科学実験センターゲノム機能解析分野 堀家慎一准教授とともに進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成31年度実験計画予定のエピジェネティック解析については、組織学的検討結果などから、検討対象期を選定し、次年度令和2年度開始する予定であるため。また、一部実験について、他の研究助成金を使用したため。
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