AKIにおける腎臓からの求心路としての神経経路の役割を解明するために、腎虚血再灌流障害後の急性肺障害(acute lung injury : ALI)への腎動脈周囲自立神経の除神経の効果を検証した。AKI早期の肺に好中球浸潤を来したことを確認して、腎動脈の除神経の効果を検討したが、除神経の有無によって肺好中球浸潤の程度は変化しなかった。そのため腎臓内のノルエピネフリン濃度を測定することで腎自律神経の障害の程度を評価したところ、虚血再灌流障害によって除神経群と同様に腎自律神経が障害されていた。以上より虚血再灌流障害によるAKIでは腎自律神経が障害されており、AKIにおける腎臓から求心路としての神経経路の役割は少ないと考えられた。
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