研究課題
カルシウム/カルモヂュリン依存性キナーゼ(CaMK)4を含む、CaMKシグナルに対するポドサイト特異的治療の確立のため、難治性腎疾患の一つである、難治性ネフローゼ症候群におけるCaMKシグナルの解析を行った。難治性ネフローゼ症候群の一つである巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)においては、CaMK4がポドサイト上に発現上昇が認められたが、同じファミリーのCaMK2に関しては糸球体内での発現が見られなかった。FSGSのマウスモデルであるアドリアマイシン腎症モデルにおいても、ポドサイト障害とともに、CaMK4の上昇がみられた。ポドサイト特異的CaMK4欠損マウスにおいては野生型と比較して有意に蛋白尿やポドサイト障害の改善を認めた。ポドサイト指向性ナノ粒子による治療においても同様に改善が認められた。また、同じカルシウム/カルモジュリン誘導性のキナーゼであるのにも関わらず、CaMK4と2の両者に違いが見られたことから、CaMK4だけでなく上流のCaMKキナーゼ(CaMKK)にも着目した。CaMKKの2つのアイソフォーム両者を阻害する低分子化合物を使用して、その役割を検討した。FSGSモデルマウスに阻害薬を投与し、尿蛋白の推移を検討した。CaMK4阻害を行った場合と同様の結果が予想されたが、CaMKKの阻害により、蛋白尿の誘導に関しては有意な差は認められなかった。また、CaMKKの2種類のアイソフォーム各々の遺伝子欠損マウスを使用して同様にアドリアマイシン腎症にて野生型との比較を行ったが、有意な差はみられなかった。