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2019 年度 実施状況報告書

人工知能を用いて腎疾患を理解する

研究課題

研究課題/領域番号 19K08725
研究機関大阪大学

研究代表者

松井 功  大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60456986)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード人工知能 / 腎臓 / 病理 / シングルセルRNAシーケンス
研究実績の概要

深層学習 (deep learning) に代表される人工知能 (artificial intelligence (AI)) の進歩はあらゆる分野において革新的な変化をもたらしつつある。Deep learningが過去にブームを引き起こしたAI技術と根本的に異なる点は、データに含まれる特徴量、すなわち問題解決に必要な本質的変数であったり概念を特徴づける変数を「機械が自律的に抽出」する点にあり、ヒトの頭脳では気づき得なかった「問題解決に必要な本質的特徴量を機械が我々人間に提示する可能性」を秘めている所にある。我々は、本研究においてAIを用いたヒト腎生検画像診断システムを構築するとともに、AIを用いて腎疾患を規定する画像的特徴量の抽出を試みている。さらに、画像から得られた腎疾患を規定する特徴量がどのような病態を反映しているのか、シングルセルRNAシーケンスをもちいた解析を組み合わせている。ヒト腎生検画像診断システムの開発においては大量の教師データが必要であるため、全国21施設から約4,000例(HE, PAS, PAM, EMTの4染色で合計約16,000枚)の腎生検バーチャルスライド画像を集め、臨床データと紐づけたデータベースを構築しつつある。また、AIを用いたヒト腎生検画像診断システムの開発に必要なプログラミング技術は、大阪大学医学部附属病院にて腎生検を行われた約200例を対象とした解析で既に確立した。シングルセルRNAシーケンスを用いた解析については、腎構成細胞の単離技術を確立した。また、シングルセルドライ解析においては、partition-based graph abstraction (PAGA)にRNA velocity、Niche-Netを組み合わせると、腎構成細胞の解剖学的特徴および細胞の相互作用を統合的に理解しやすくなる事などを本研究で見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

AIを用いたヒト腎生検画像診断システムの開発に必要な基礎的プログラミング技術は、大阪大学医学部附属病院にて腎生検を行われた約200例を対象とした解析で既に確立した。また実際の腎生検画像診断システムの開発には大量の教師データが必要であるが、こちらも全国の施設にご協力頂き、約4,000例(16,000枚のバーチャルスライドデータ)のデータを取得済みである。シングルセルRNAシーケンスにおいても、腎組織を1細胞に分離するプロトコルの最適化は既に終了しており、ドライ解析に必要な技術も確立した。このためおおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

本研究ではdeep learningを用いて、ヒト腎生検画像の自動診断システムを構築する。畳み込みニューラル・ネットワーク(convolutional neural network (CNN))は入力層・畳み込み層・プーリング層・全結合層などを複雑に組み合わせた構造をしており、多くのバリエーションが存在する。我々は複数のCNNを既に構築し、その性能の優劣について検討を進めている。なお、予備検討では当院の腎生検画像から糸球体および尿細管画像をマニュアルで切り出し、アノテーションをつけ、学習データセットを作成した。しかし、この手法を用いて大量のデータを扱うことは困難であるため、本研究では画像の切り出しも含めて完全自動化したシステムの構築を進める。また、教師あり学習のみであるとアノテーションによるバイアスの影響を完全に除外できないため、教師無し学習も組み合わせ、腎疾患を規定する画像的特徴量の抽出を進める。シングルセルRNAシーケンスについては、腎臓の一細胞分離技術を確立したため、本年度以降は各疾患腎のシングルセルRNAシーケンスデータ取得をすすめ、Partition-based graph abstraction (PAGA)、RNA velocity、Niche-Netなどを組み合わせて、腎疾患における各構成細胞の変化を規定する特徴量を抽出する。さらには、画像から得られた腎疾患特徴量とシングルセルRANシーケンスから得られた腎疾患特徴量を組み合わせ、腎臓病の統合的理解を進める。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] 人工知能(AI)を用いた腎生検画像診断 -病理医と異なるAIの視点-2019

    • 著者名/発表者名
      松井 功
    • 学会等名
      日本腎臓学会学術総会
    • 招待講演
  • [学会発表] 人工知能(AI)は腎生検画像診断に有用である2019

    • 著者名/発表者名
      松本 あゆみ
    • 学会等名
      日本腎臓学会学術総会
  • [学会発表] 人工知能(AI)を用いた腎生検画像診断、病理医と異なるAIの視点2019

    • 著者名/発表者名
      松井 功
    • 学会等名
      AI・ICTセミナー「AI・ICT技術活用による腎臓病学研究の展望」
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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