研究課題
2019年度はMRP8欠損骨髄由来細胞特異的レポーターマウスを用いて、糸球体腎炎惹起時の骨髄由来細胞の特性を解析した。その結果、MRP8の欠損はマクロファージのM1形質に重要な役割を果たすmacrophage-inducible C-type lectin (Mincle)発現に影響を与えていることが明らかとなった。具体的には、末梢血の解析では健常時、腎炎時に関わらず好中球のMincle発現を抑制していた。単離糸球体の解析においては末梢血同様、好中球のMincle発現を常時抑制する一方、マクロファージ分画では腎炎時に発現増加するMincleを抑制することが示された。その機序は不明な点が多いが、細胞質内Ca結合蛋白であるMRP8は炎症誘導時にCa依存性C-type lectinの一つであるLセレクチンの切断、細胞膜表面への移動に関与することが報告されている。腎炎での糸球体局所炎症誘導時にMRP8が浸潤マクロファージ上のMincle発現に重要な可能性も考えられる。当該年度の研究結果により一定の成果が得られたため、論文として報告した。さらに計画書記載の患者サンプルを用いた検討についても血液透析患者血清MRP8濃度と予後予測について関連性を示唆する結果が得られており、論文投稿を行った。
2: おおむね順調に進展している
当該年度までの検討結果について論文報告を行うことができた。引き続き臨床応用を念頭に置いた研究を進めていく。
2019年までの検討結果について論文報告を行った。次のステップとして臨床応用を目指した計画を大阪大学のグループと共同ですでに開始している
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