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2020 年度 実施状況報告書

NAD前駆体NMN産生酵素Namptの糖尿病性腎臓病における機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K08732
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

長谷川 一宏  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (30424162)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードNampt
研究実績の概要

透析の最大の原疾患である糖尿病性腎症(Diabetic Nephopathy, DN)は、透析のみならず、心血管合併症を引き起こし、生命予後を不良にするばかりか、これらの治療に要する医療費を増大させるため、社会的悪影響が大きい。糖尿病性腎症は、今もって糖尿病や高血圧への治療が中心であり、腎そのものへの有効な治療法は今もって存在しないことが、増え続ける一方の患者数と医療費増大に歯止めが利かない理由である。我々は、長寿遺伝子でNAD 依存性脱アセチル化酵素であるSirt1の研究を進め、糖尿病性腎症で、近位尿細管Sirt1 が低下、Sirt1由来の液性因子NMN(Nicotinamide Mononucleotide)がポドサイトに至れず、機能不全を起こす事を報告し、我々は、近位尿細管(Proximal Tubules, PT)のSirt1の糖尿病性腎症(Diabetic Nephropathy, DN)における意義を明らかにした(長谷川一宏、脇野修、坂巻裕介、林晃一、伊藤裕ら、Nat Med 2013,日本腎臓学会 大島賞等)。Sirt1低下に続き、NMN産生酵素Nampt(nicotinamide phosphoribosyl
transferase)が低下し、NMNが減少する事を我々は見出していたが、Nampt低下の近位尿細管での機能や発現制御機構については不明であり、これらを解明する研
究を継続している。まず、その機能については論文報告を完了(村丘寛和、長谷川一宏、脇野修、坂巻裕介、伊藤裕、Cell Reports 2019)した。Namptが低下するとTIMP1が上昇し、これによりMMPが低下するためと考えられるが糖尿病性腎症で尿細管基底膜、糸球体基底膜の肥厚や糸球体硬化の重要な細胞外マトリックスである4型コラーゲン増生が認められることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Namptの腎臓、特に近位尿細管における機能の解明に至ったため、本研究課題の進捗状況については、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

尿細管糸球体連関について、我々の最新の検討結果、他グループからの報告結果の観点から、今後は尿細管PEC連関についても解析を進めたい。SGLT2阻害剤は尿細管糸球体連関を保持する可能性についても示唆されているが、尿細管糸球体連関を保持するのであれば尿細管糸球体―心連関をもSGLT2阻害剤は保持するともいえる。今後、Namptが産生するNMNそのものの糖尿病性腎症に対する影響を解析を推進することで、腎保護のみならず、microな視点では腎臓内の細胞連関、尿細管糸球体連関を、macroな視点では心腎連関を常に頭におき、新規の薬剤標的をこの分野に見出す事ができる研究、つまりNMNの投与による糖尿病性腎症への腎保護効果の解析を方策している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Diabetic condition induces hypertrophy and vacuolization in glomerular parietal epithelial cells2021

    • 著者名/発表者名
      Takahisa Kawaguchi, Kazuhiro Hasegawa, Itaru Yasuda, Hirokazu Muraoka, Hiroyuki Umino, Hirobumi Tokuyama, Akinori Hashiguchi, Shu Wakino, Hiroshi Itoh
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 11 ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41598-021-81027-8.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 腎疾患を生化学的に解明する NAD代謝物と抗加齢遺伝子サーチュインが創る尿細管糸球体連関2020

    • 著者名/発表者名
      長谷川一宏、安田格、川口隆久、脇野修、伊藤裕
    • 学会等名
      第93回 日本生化学学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 代謝臓器に対する先制的アプローチ NAD・糖代謝の躯幹臓器である腎臓に「先制送達」すべき、これからの先制的モダリティ・低分子化合物は何か?2020

    • 著者名/発表者名
      長谷川一宏、安田格、川口隆久、脇野修、伊藤裕
    • 学会等名
      第20回 日本抗加齢医学会
    • 招待講演
  • [学会発表] モダリティと創薬ユニットの2面から考える腎疾患創薬-令和の腎創薬はOne Teamを目指して- ウィルスベクターと腎 たどり着くべき導入先は、尿細管か糸球体か2020

    • 著者名/発表者名
      長谷川一宏、安田格、川口隆久、脇野修、伊藤裕
    • 学会等名
      第63回 日本腎臓学会学術総会
    • 招待講演
  • [備考] 所属研究機関が作成した研究内容に関するwebページ

    • URL

      https://keio-emn.jp/member/hasegawa/

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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