研究課題/領域番号 |
19K08735
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
本島 英 東海大学, 医学部, 准教授 (80468636)
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研究分担者 |
松阪 泰二 東海大学, 医学部, 教授 (50317749)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 腎発生 / ネフロン前駆細胞 / 腎間質前駆細胞 / フォークヘッド転写因子 |
研究実績の概要 |
Foxc1とFoxc2(Foxc1/2)は、腎発生以外にも様々な臓器の発生に必須の転写因子である。我々は、後腎発生開始後(E13.5)にFoxc1/2を全身で欠損させるとネフロン前駆細胞(Nephron progenitor: NP)に異常をきたすこと、Foxc1/2がNPのみならずその周囲の腎間質前駆細胞(Stromal progenitor: SP)にも発現することを見出した。 Foxc1/2の腎発生における役割を明確にするために、Foxc1/2をNP特異的、もしくはSP特異的にコンディショナルノックアウト (KO)し、NPの表現型に与える影響を検討している。Six2-CreERT2との掛け合わせによって作製したNP特異的Foxc1/2の欠失ではE18.5での形態上の異常は観察されなかった。Foxd1-CreERT2によるSP前駆細胞における欠失においても異常は観察されなかった。これら2種類のCreERT2マウスを掛け合わせNPとSP双方でのFoxc1/2欠失を試みている。 Foxc1/2が制御するNP維持に必須の因子を同定するために、Foxc1/2を欠失したNPとSPをそれぞれ単離し、正常なNP、SPと遺伝子発現プロファイルを比較している。先進ゲノム支援の支援課題に採択していただき、シングルセルRNA-Seqを実施した。現在創薬等先端技術支援基盤プラットフォームの支援によりデータの解析中である。これによってより詳細な検討が可能になっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ネフロン前駆細胞特異的Foxc1/2KOマウスと腎間質前駆細胞特異的Foxc1/2KOマウスを作製したが発生異常が見られなかったので、NPとSPの双方でのKOマウスの作製を行っている。単離したNPとSPについて、シングルセルRNA-Seqデータの解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
シングルセルRNA-Seqの解析により、ネフロン前駆細胞と腎間質前駆細胞を発生段階別に層別化し、分化過程を類推する。免疫組織化学染色やIn situハイブリダイゼーションにより、各階層に属する細胞の位置情報を取得し、層別化の妥当性を検証する。コンディショナルノックアウトマウスとのシングルセルRNA-Seq解析結果の比較により、Foxc1/2により発現制御される腎発生に必須の因子を推定する。In vitroの腎発生モデルを用いて候補遺伝子の機能を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
先進ゲノム支援の支援課題に採択されたことにより、RNA-Seqの費用が削減された。この費用を利用して、次年度にはシングルセルRNA-Seqによって類推された遺伝子の発現パターンを精査する。主に抗体の購入費等に充当する。2020年度請求分はマウス飼育費、In vitro実験の試薬等に利用する。
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