研究課題/領域番号 |
19K08739
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
坪井 直毅 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50566958)
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研究分担者 |
湯澤 由紀夫 藤田医科大学, 医学部, 教授 (00191479)
丸山 彰一 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362253)
林 宏樹 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (10378086)
勝野 敬之 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (60642337)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | バイオマーカー / ANCA関連腎炎 / 接着因子 / 白血球 / 腎生検 |
研究実績の概要 |
『患者検体尿中CD11b、CD163、CD106の臨床的意義検討と国内外コホート比較によるバリデーション』 ①腎炎患者尿中のCD11b、CD163、CD106測定:名古屋大学医学部附属病院とその関連病院(88例)、および厚生労働省難治性疾患克服研究事業(Remit-JAV-RPGN,138例)で組織診断時に収集された合計226例のANCA関連腎炎患者尿検体で、CD11b、CD163、CD106値をELISA法で測定したところ、いずれもANCA関連血管炎患者で有意な上昇を認めた。 ②尿中CD11b、CD163、CD106と腎疾患病理組織学的活動性との相関評価:腎糸球体組織学的分類との関連性を検討した。その結果、CD11b、CD163の両分子は、Berden分類における半月体型に分類される患者群で有意に増加していた。また両分子はともに、尿蛋白とは正の、腎機能とは負の相関を示したが、それらはCD163でより強固であった。次に、CD11b陽性、CD163陽性の各白血球分画の糸球体での分布に注目したところ、CD163陽性白血球数は糸球体全領域に均等に観察されたのに対し、CD11b陽性白血球数は半月体内よりも糸球体の未破壊領域に多く分布していた。また尿中の両分子の値は、半月体形成率や、半月体内のCD11b陽性、CD163陽性白血球分画集積数とも、それぞれ有意に相関していた。 『糸球体腎炎・腎微小血管障害動物モデルを用いたCD11b、CD106動体解析による基礎医学的検証』 ウサギIgGで前免疫を施したC57BL/6系マウスに、ウサギ抗マウス腎糸球体基底膜血清を投与することにより、抗糸球体基底膜抗体型腎炎の動物実験モデルを樹立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ANCA関連腎炎患者尿検体におけるCD11b、CD163、CD106の測定、組織学的所見との関連分析は概ね終了している。現在Remit-JAV-RPGNコホートの臨床情報との関連性について多変量解析など統計学的手法を用いた解析に着手している。 動物実験については、研究代表者所属施設での抗糸球体基底膜抗体型腎炎の動物実験モデル樹立に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
『患者検体尿中CD11b、CD163、CD106の臨床的意義検討と国内外コホート比較によるバリデーション』 尿中CD11b、CD163と患者の腎予後(治療後6ヶ月の寛解導入、腎機能低下)について解析を進め、それらの臨床的意義を明らかとする。尿中CD11b、CD163のANCA関連腎炎における臨床的意義に関しては、解析結果が揃い次第論文化を行う。また、希少疾患である血栓性微小血管症(Thrombotic microangiopathy: TMA)に関しても、今後研究分担施設からも検体収集を進め、上記バイオマーカーの測定を行う。 『糸球体腎炎・腎微小血管障害動物モデルを用いたCD11b、CD106動体解析による基礎医学的検証』 研究代表者所属施設で樹立した抗糸球体基底膜抗体型腎炎モデルを用い、経時的尿中CD11b、CD106動態と腎機能、組織障害との関連を検討する。腸管出血性大腸菌由来Verotoxin(Stx2)による溶血性尿毒症症候群(HUS)モデルは、Stx2の入手が可能となり次第着手する。2020年4月現在COVID-19感染拡大による非常事態宣言により、新規の動物実験が困難な状況になっているため、細胞実験への移行も検討している。
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