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2020 年度 実施状況報告書

炎症後色素沈着の病態解明と新規治療法の開発:モデルマウスを使用した解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K08742
研究機関山形大学

研究代表者

鈴木 民夫  山形大学, 医学部, 教授 (30206502)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード炎症後色素沈着 / モデルマウス / アトピー性皮膚炎 / メラニン / メラニン代謝 / マクロファージ
研究実績の概要

炎症後色素沈着(Post-Inflammatory Hyperpigmentation:PIH)マウスモデルを作製し、その病態解明と新しい治療法の開発と既存の治療法の有効性を検証する目的で、1年目は0.5%の2,4-Dinitrofluorobenzene (DNFB) をハプテンとしてアトピー性皮膚炎様炎症を惹起した後に生じるPIHのマウスモデルを確立した。2年目の本年度は、確立したマウスモデルのさらなる解析(各種マクロファージ抗体による免疫組織染色、メラニン染色、ドーパ染色等)を行ない、その結果をまとめて報告した(Nakano S et al. Pigment Cell Melanoma Res. 2021)。
一方で、新規治療法の確立の目的で、現在、一般臨床的にPIHに対して使用されている4種類の薬剤をマウスモデルの背中に外用して、PIH消退を促進する効果について確認した。その結果、2種類の薬剤において、外用した部位のPIHがコントロール(ワセリン)に対して有意に早期に消退することを見出した。そこで、現在、追試を行っている。他の2剤については、PIH消退を促進させる効果を確認できなかった。
また、紫外線曝露の影響について解析した。その結果、紫外線曝露によってPIHが長く残存するという結果は得られず、我々のマウスモデルを使った解析では、PIHに対する紫外線曝露の影響は極めて限定的であった。
ところで、我々の確立したマウスモデルにおけるPIHはおおよそ8週間で自然消退するという解析結果が得られているが、2020年度の途中より、8週間では自然消退しなくなり、消失には16週間を要するようになった。この原因を現在解析中ではあるが、8週間で消失した場合との比較により、新たな知見が得られる可能性もある。一方で、そのために予定した真皮マクロファージの単離はこれからの研究予定となっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

1年目に確立したPIHマウスモデルについての解析結果を論文にまとめて報告できた点については、当初の予定よりも進んでいる。一方で上述のように、これまでは8週間で消失していたマウスモデルのPIHが、16週間ほど要するようになった。現在その原因検索を行っているが、予定していた真皮マクロファージの単離はこれからの研究予定となっている。しかし、PIH消失に16週間を要するようになった原因解明は、ヒトにおけるPIH消失には数年以上の時間を要することの原因検索に結び付く可能性を秘めており、極めて興味深い。PIHが8週間で消失するマウスと16週間要するマウスを比較検討することでその理由が明らかにできると期待している。
新規治療法の確立に向けての新たな薬剤の検索については、これまで4種類の薬剤をスクリーニングが終了しており、そのうち2種類について有望な結果が得られている。この点は予定通りに進んでいる。

今後の研究の推進方策

まずはPIH消失に16週間を要するようになったマウスとこれまで通り8週間で消失するマウスを比較検討し、その原因を明らかにする。免疫組織化学的解析、RNAシークエンス等で原因を探る。
また、真皮マクロファージ単離を行い、in vitroの実験系を確立して、マクロファージを活性化し、メラニン代謝を促進する薬剤やサイトカイン等を明らかにする。
さらに、マウスモデルを使用して、PIH消失促進効果を示す薬剤のスクリーニングを継続して行い、新たな薬剤を見出し、その分子メカニズムを明らかにする。現在、有望な候補である2種類の薬剤については、その効果が確認でき次第、メカニズムを解析する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Establishment of a mouse model for post‐inflammatory hyperpigmentation2020

    • 著者名/発表者名
      Nakano Shoko、Abe Yuko、Nakajima Kimiko、Sano Shigetoshi、Yamamoto Osamu、Wakamatsu Kazumasa、Ito Shosuke、Hayashi Masahiro、Suzuki Tamio
    • 雑誌名

      Pigment Cell & Melanoma Research

      巻: 34 ページ: 101~110

    • DOI

      10.1111/pcmr.12911

    • 査読あり
  • [学会発表] 炎症後色素沈着症のモデル動物の確立2020

    • 著者名/発表者名
      中野祥子、阿部優子、中島喜美子、佐野栄紀、山元修、若松一雅、伊藤祥輔、林昌浩、鈴木民夫
    • 学会等名
      第50回日本皮膚免疫アレルギー学会総会学術大会

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公開日: 2021-12-27  

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