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2022 年度 実施状況報告書

培養脂腺細胞の分泌膜小胞セボゾームの生成と周辺細胞への脂質供給機構

研究課題

研究課題/領域番号 19K08751
研究機関愛媛大学

研究代表者

永井 彩子  愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(病院教員) (90420562)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード分泌膜小胞 / セボゾーム / 脂腺細胞
研究実績の概要

脂腺細胞は、スクアレンなどの脂質を合成し、皮脂として皮膚表面に分泌する。我々は、ラットの脂腺細胞を培養したところ、脂質顆粒を含む膜小胞を活発に生成・分泌することを発見して、同膜小胞を「セボゾーム」と命名した(Endocrinology 2005年)。これまでにセボゾームはリサイクリングおよび、早期-後期エンドソーム、リソソーム、脂質ラフトなどを含有する新型の複合膜系であること、セボゾームはスクアレンやヒストンを濃縮しており、保湿機能に加え、抗菌活性を持つことが示唆された。セボゾームの分泌形式を解析するため、今回、セボゾーム分泌中の脂腺細胞の透過型電子顕微鏡による解析を試みた。
【方法】初代培養の脂腺細胞はEGF添加D'MEMで培養維持した。セボゾーム分泌中の脂腺細胞をカバーガラスに播種し、数日培養しセボゾーム生成を確認後、冷グルタールアルデヒド2.5%緩衝液で固定した。定法通り処理を進め、透過型電子顕微鏡で観察した。
【結果】試料作製の過程で樹脂包埋作業時にカバーガラスから細胞が剥がれず多くの試料が損傷し、良い条件で観察できる試料の作製が困難であった。かろうじて観察できた部分も試料作製時の固定、包埋などによる損傷があり、これまでに得ていた生細胞での蛍光染色観察結果との乖離が見られ、アーチファクトの影響が考えられた。
【結論】透過型電子顕微鏡のための良好な試料作製が困難であったため、セボゾーム分泌中の培養脂腺細胞の十分な観察は今回はできなかった。脂腺細胞は他の一般的な培養細胞よりも脂質合成・蓄積能に富み、セボゾームは細胞外に突出した膜構造であるため、固定や包埋などの操作による損傷を受けやすく、試料作製を困難にした可能性がある。セボゾーム観察に適した試料作製条件の更なる検討が必要と考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウイルス感染拡大により、研究に必要な試薬・消耗品には、納期未定や長期遅延、長期欠品、価格高騰などで入手困難になったものがいまだに多い。数ヶ月先を見越した物品注文を行い対応に努めているが、供給は不安定でかつ納期確認等の業務が煩雑であり、以前に比べ計画的な必要物品の入手の目処が立たない状態が続いている。重ねて、大学内研究施設の使用も感染対策の段階に応じて事前申請・許可制になり、事実上制限があり、現状に合わせて実験予定の変更を余儀なくされた。新型コロナウイルス感染拡大防止対応のため、研究以外の診療や大学の日常業務量が増え煩雑化したことも加わり、研究の進行状況に遅れを生じている。また、発表を予定していた学会が現地対面開催のみになったが、新型コロナウイルス感染蔓延状況が落ち着いていなかったため、新型コロナウイルス感染防止の観点から、残念ながら学会への参加・発表を見合わせざるを得なかった。

今後の研究の推進方策

令和4年度も新型コロナウイルス感染拡大の回復の兆しはなく、試薬・消耗品などの入手・国内外の輸送が困難な状態が続いており、研究に必要な物品の計画的な購入の目処が未だ立たない状態であったが、令和5年度にはやや感染拡大の沈静化の気配があり、今後、試薬の流通や研究環境の回復の程度に合わせ、早めの調達に努める。
感染拡大の度重なる再燃の間に、共通機器、学内研究施設の内容なども変更されたため、現状で活用できる機器、施設を用いる研究体制に変更を進めている。膜動態に注目したセボゾームの形成機構を中心に研究を進めていく予定である。学会発表の場でも本研究の特異性は高く評価されており、データの整理等のまとめを並行して行っていく。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染拡大による研究環境の悪化、消耗品等の物品供給が不安定になり計画通りの調達が困難になったことから、研究に遅れが生じている。現在半年以上の納期が必要になっている物品もあり、それを踏まえて注文を進めているが、さらに、ウクライナ情勢の影響も受け、納期が大幅に延長になり年度内には入手できなかった物品も出てきた。今までよりも、消耗品の価格も高騰し、価格が戻る様子もない状況であるため、残予算はそれらの物品の購入費用に当てる。

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公開日: 2023-12-25  

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