研究課題
2021年度も前年度に引き続き、乳房外パジェット病症例からのCTOS樹立を行う予定であったが、組織採取に適した症例がなく、新規のCTOS樹立は行えなかった。2019年度、2020年度に樹立したCTOSを用いてマイクロアレイを施行したところ、乳房外パジェット病において、正常皮膚と比較してAGR2、CRIP1、CRISP3、PPP1R9A、SLC2A10、ERBB4の遺伝子の高発現が認められた。引き続いて、乳房外パジェット病の増殖、転移に関わっている可能性のある因子としてエクソソームに着目し、過去に乳房外パジェット病での発現が報告されているmiR31-5p、miR31-3p、miR-155について、real time PCR検査にて測定したところ、CTOSではHaCaT細胞と比較してmiR31-5p、miR31-3pともに有意な低下を認めた。miR-155はCTOS、HaCaT細胞ともに検出されなかった。miR31はSATB2を抑制し、上皮間葉転換、浸潤、転移を阻害することが知られているが、今回使用したCTOSはリンパ転移巣から樹立したCTOSであり、すでにmiR31の発現が低下していた可能性、もともと周囲組織(皮膚)が発現しているmiR31が腫瘍(乳房外パジェット病)に作用し、転移や浸潤を阻害している可能性が考えられた。これらの結果を元に、CTOSにmiR-31を遺伝子導入し、増殖能について検討したところ、miR31遺伝子導入により、c-Myc、Cyclin D1の発現低下が見られた。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 23 ページ: 1310~1310
10.3390/ijms23031310
Medicine
巻: 100 ページ: e28210~e28210
10.1097/MD.0000000000028210
The Journal of Dermatology
巻: 48 ページ: -
10.1111/1346-8138.16139
International Medical Case Reports Journal
巻: Volume 14 ページ: 361~364
10.2147/IMCRJ.S310702
European Journal of Cancer
巻: 145 ページ: 210~220
10.1016/j.ejca.2020.12.021