研究課題/領域番号 |
19K08754
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
国本 佳代 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10438278)
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研究分担者 |
金澤 伸雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (90343227)
邊見 弘明 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (20451924)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | インターフェロン制御異常症 / 新規遺伝子変異 |
研究実績の概要 |
患者由来細胞や皮膚炎組織において、pSTAT1の発現に差を認めたが、XがSTAT1のリン酸化を直接抑制するという報告はないことから、本年度は、昨年確立した、293T細胞(野生型ではXの発現を認めない)とX欠損HAP1細胞(CML由来一倍体細胞)に変異遺伝子を強制発現させる系を用い、IFNγ刺激後のIFN刺激応答因子(ISRE:pSTAT1とpSTAT2のヘテロダイマーが結合)とγ活性化配列(GAS:pSTAT1のホモダイマーが結合)のレポーターアッセイによって変異による差異の検出を試みた。 293T細胞を用いたIFNγ刺激16時間後のIRSE-Lucアッセイにて、野生型Xが容量依存性にLuc活性を低下させたが、父親由来Xa、母親由来Xb変異のいずれもその程度に変化なく、またインターナルコントロールとして用いたHSV-Tk活性はXの容量依存性に増加していた。そこでIFNγ刺激16時間後のGAS-LucアッセイとIRSE-Lucアッセイを行なったが、いずれも同様の結果で、Xa、Xb変異いずれも活性変化の程度は野生型Xと差はなかった。ただ、293Tは Xを欠損するわけではないので、同様の実験をX欠損HAP1細胞にて行った。 まず、IFNγ刺激16時間後のGAS-LucアッセイとIFNα刺激16時間後のIRSE-Lucアッセイを行ったが、いずれも野生型X、Xa、Xb変異ともに単独でのLuc活性の低下は明らかでなく、インターナルコントロールのHSV-Tk活性がXの容量依存性に増加するため、対比として見かけ上低下するように見えるという結果であった。そこで、インターナルコントロールをSV40に変更したところ、活性のX容量依存性増加は消失し、Luc活性のX容量依存性低下がはっきり見えるようになったが、変異による差を見出だすことはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
In vitroの実験にてXaとXb 変異の機能的差異を見出すことができず、Xが疾患責任遺伝子だという確信が持てないために、マウスやタンパク質の作成に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
XがIRF3などSTAT1以外のIFNシグナル分子と相互作用するという報告をふまえ、X欠損HAP1細胞にXaとXb 変異を強制発現させる系を用いてその機能的差異を見出す実験を模索するとともに、患者由来不死化B細胞にてIFNγ刺激後のpSTAT1発現に差が出る系において、IRF3などpSTAT1以外の分子の挙動を検討し、Xの作用点を明らかにする。さらに、CRISPR/Cas9の系を用いて、患者由来不死化B細胞のX変異の正常化を試み、IFNγ刺激後のpSTAT1発現が野生型と同じに戻るか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
In vitroの実験にて期待通りの結果が得られず、Xが疾患責任遺伝子だという確信が持てず、当初行う予定だったマウスやタンパク質の作成に至っていないが、それを明らかにするため、新たに患者由来細胞を用いた実験を行うのに使用する。
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