研究課題/領域番号 |
19K08757
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
須藤 一 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (90286740)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アレルギー / 接触皮膚炎 / サイトカイン / マウスモデル |
研究実績の概要 |
IL-21R欠損マウス及び野生型マウスの背中の皮膚に化学物質DNFB、FITC及びOxazoloneを塗布して、後日、耳介皮膚に再度、同じ化学物質を塗布することにより接触皮膚炎を誘導した。DNFB、FITC及びOxazoloneによる接触皮膚炎の程度を耳介皮膚の厚さを測定することにより評価を行なったところ、野生型マウスに比べて、IL-21R欠損マウスでは悪化することが明らかになった。耳介皮膚の病理増解析においても、野生型マウスに比べて、IL-21R欠損マウスでは白血球の浸潤がより多く認められた。IL-21R欠損マウス及び野生型マウスの背中の皮膚にDNFB及びFITCを塗布したあと、従属リンパ節を回収し、そのリンパ節細胞をDNBS及びFITC存在下で刺激し、増殖能や培養上清中のサイトカイン産生量を比較した結果、両群に大きな差は認められなかった。また、細胞内サイトカイン染色によるフローサイトメトリー解析においても、Th1、Th2、Th17細胞のプロファイルは両群に大きな差は認められなかった。これらの結果から、接触皮膚炎の誘導の際、ハプテン特異的なT細胞の誘導にはIL-21は必須ではなく、炎症惹起相での炎症の誘導に関わっている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IL-21R欠損マウスを用いることにより、IL-21は接触皮膚炎の抑制に関わっていることが明らかになった。概ね順調に進んでいるが、一点、IL-21産生細胞の同定に時間を要している。 方法として、抗IL-21抗体を用いてフローサイトメトリー解析にて検討を行なっている。現在使用している市販の抗IL-21抗体の染色によるフローサイトメトリーでの解析では、陽性細胞と陰性細胞の分解能がはっきりせず、negative controlとしてIL-21欠損マウスの細胞を利用する必要がある。このIL-21欠損マウスの入手に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
野生型マウス、IL-21欠損マウス(Jackson Labより入手予定)及びIL-21Ra欠損マウス に接触型過敏症を誘導し、炎症局所におけるIL-21産生細胞及びIL-21R発現細胞をフローサイトメトリー及び免疫染色法により同定する。IL-21R発現細胞を同定後、その細胞にIL-21で刺激を行い、炎症を抑制するような因子(IL-10など)の産生が誘導できるかどうか、IL-21による炎症抑制メカニズムの解明を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
国外からIL-21欠損マウスの購入のための費用を計上していたが、当該年度内に購入ができなかったため。
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