IL-21は、Th1細胞、Th2細胞、Th17細胞、濾胞ヘルパーT細胞といったヘルパーT細胞の分化や活性化に関わる。したがって、IL-21はヘルパーT細胞が炎症の誘導に関与する接触皮膚炎の誘導に何らかの関わりを持っていることが推測される。そこで、IL-21受容体(IL-21R)欠損マウスに接触皮膚炎を誘導し、接触皮膚炎におけるIL-21の役割の解明を目指した。IL-21R欠損マウスでは、野生型マウスに比べて接触皮膚炎が増悪した。つまり、IL-21は接触皮膚炎を抑制する働きがあることが明らかになった。皮膚炎局所では、炎症を誘導する因子だけでなく、炎症を鎮静化させるための炎症抑制因子の発現が上昇する。実際に、抗炎症性サイトカインであるIL-10の代わりに蛍光タンパク質を発現するマウス(IL-10-venusマウス)に接触皮膚炎を誘導すると、炎症局所で蛍光タンパク質を発現する細胞が増えることが明らかになった。そこで、IL-21は炎症局所でIL-10などのサイトカインを誘導することで炎症の抑制に関わっていると仮定し、その証明のために、IL-21R欠損IL-10-venusマウスの作成を行なった。IL-21R欠損IL-10-venusマウスに接触皮膚炎を誘導したところ、皮膚樹状細胞でIL-10の産生の減弱が認められた。したがって、IL-21は皮膚樹状細胞からのIL-10産生を増強することで接触皮膚炎の抑制に関わることが示唆された。
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