研究課題/領域番号 |
19K08759
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
河野 通良 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (30403182)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯性病巣感染 / 炎症性疾患 |
研究実績の概要 |
掌蹠膿疱症(PPP)は歯性病巣感染が増悪因子であり、歯科治療により改善することが知られている。これまで、歯科治療により皮膚症状が改善した群7名と改善しない群6名の口腔細菌叢を比較し、歯科治療後に皮膚症状が改善した群は口腔細菌叢の多様性が高く、菌種組成が異なること、歯科治療前後の細菌叢の変化において、改善群の細菌叢は非改善群と比較して大きく変化することを見出した。これらの結果をまとめて論文発表を行なった。 また、関節リウマチ(RA)患者と掌蹠膿疱症性骨関節炎(PAO)を有する患者(PAO+)、PAOのないPPP患者(PAO-)の比較検討を行った結果、PAO+、PAO-、RAの3群はともにコントロールと異なる細菌叢であったが、3群間で有意な違いは見られなく、菌種組成の解析では、PAO+とPAO-の比較においてPAO+のみに5菌種で有意な変化が見られた。PAO+とRAに共通した変化としてProteobacteria門の減少とSelenomonas属の増加が認められた。これらのデータをまとめて、現在論文作成中である。 これらの口腔内細菌叢と関連する口腔内のサイトカインの変化を調べるため、唾液中のサイトカイン解析を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
患者のうち、歯科治療により改善する群としない群の比較において、改善した群は口腔細菌叢の菌種組成が異なることを見出し、論文発表できた。さらに、掌蹠膿疱症性骨関節炎患者と関節リウマチ患者の間に相関があることを見出し、現在論文作成中である。新たな検体採取を目指しているが、コロナ禍による患者減少の影響があり、一時的に新規患者登録が減少したため、当初の計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
新たに当院を受診された対象疾患患者の唾液を採取し、口腔内の菌種組成の変化と関連する唾液中のサイトカインの解析を行い、臨床経過の予測因子となり得るバイオマーカーの同定を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で新たな患者登録数が減少し、検体採取が進まなかったことで、新規の解析ができず、研究費を使う機会が減少したため次年度使用額が生じた。 現在、新規患者登録を進めており、十分な検体数が得られたのち解析を行う予定である。
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