掌蹠膿疱症(PPP)は歯性病巣感染が増悪因子であり、歯科治療により改善することが知られている。これまで、歯科治療により皮膚症状が改善した群7名と改善しない群6名の口腔細菌叢を比較し、歯科治療後に皮膚症状が改善した群は口腔細菌叢の多様性が高く、菌種組成が異なること、歯科治療前後の細菌叢の変化において、改善群の細菌叢は非改善群と比較して大きく変化することを見出した。これらの結果をまとめて論文発表を行なった。 また、関節リウマチ(RA)患者と掌蹠膿疱症性骨関節炎(PAO)を有する患者(PAO+)、PAOのないPPP患者(PAO-)の比較検討を行った結果、PAO+、PAO-、RAの3群はともにコントロールと異なる細菌叢であったが、3群間で有意な違いは見られなく、菌種組成の解析では、PAO+とPAO-の比較においてPAO+のみに5菌種で有意な変化が見られた。PAO+とRAに共通した変化としてProteobacteria門の減少とSelenomonas属の増加が認められた。これらのデータをまとめて、現在論文作成中である。 PPP患者の血液中の白血球数、好中球数、CRPなどの全身性炎症反応と相関する口腔内細菌を同定したことから、唾液中細菌これらの口腔内細菌叢と関連する口腔内のサイトカインの変化を調べるため、唾液中のサイトカイン解析を行なった。PPP患者10名と健常コントロールの唾液中サイトカインを測定した結果、TNF-α、IL-8、IL-1β、IL-1受容体アンタゴニストなどがPPP患者の唾液中で増加していることを確認した。今後は、関節症状の有無、RAとの比較などの観点から唾液中サイトカインの比較解析を継続していく予定である。
|