免疫チェックポイント阻害薬にDNA障害性の抗腫瘍薬であるブレオマイシンを併用し、抗腫瘍効果に加えてneoantigenを誘導することで免疫チェックポイント阻害薬と相乗的に作用し、悪性黒色腫に対する治療効果を高める検討を行った。B16F1悪性黒色腫細胞をC57BL/6マウス背部に20万個打ち、腫瘍が形成された段階で、抗PD-1抗体もしくは抗CTLA-4抗体を10mg/kg腹腔内に2回投与し、加えて腫瘍局所に300μgのブレオマイシンを局所注射し、その後の腫瘍の成長速度を計測した。抗PD-1抗体単独投与群と比較するとブレオマイシンの局所注射をした群の方が腫瘍の成長速度が予防モデル及び治療モデルの両者で低下した。また、マウスによっては寛解を得られた例もあったが、極めて少数例であった。また、接種して3週間の時点でのH&E染色では、腫瘍の成長速度が低下したマウスではマクロファージやリンパ球の浸潤細胞の増加が見られた。また、接種して3週間の時点での腫瘍組織mRNAより、Real time PCRを行なったところ、抗PD-1抗体とブレオマイシンとを併用した群で、TNF-α、IL-1β、IL-6の増加がみられた。但し、IL-10も増加がみられ、全般的に浸潤細胞の増加に伴うことによる可能性が考えられた。更に、接種して3週間の時点での皮膚所属リンパ節を用いてフローサイトメトリーを行った。抗PD-1抗体とブレオマイシンとを併用した群では細胞数の増加がみられ、CD44highのCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞の両者が増加していた。また、皮膚にホーミングしやすいと考えられるCD44high CD4CCR7陽性T細胞の数も増加していた。以上より、ブレオマイシンと免疫チェックポイント阻害薬の併用により、腫瘍の成長速度が抑制され、機序としては浸潤細胞と炎症性サイトカインの増加によることが考えられた。
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