研究課題/領域番号 |
19K08762
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
古賀 浩嗣 久留米大学, 医学部, 講師 (40461412)
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研究分担者 |
TEYE KWESI 久留米大学, 付置研究所, 助教 (30599303)
石井 文人 久留米大学, 医学部, 准教授 (80330827)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 天疱瘡 / 腫瘍随伴性天疱瘡 / デスモコリン / 自己抗体 |
研究実績の概要 |
天疱瘡群(特に腫瘍随伴性天疱瘡、疱疹状天疱瘡、増殖性天疱瘡)患者血中におけるデスモコリン(Dsc)3抗体の大部分はEC2領域のみに反応することを示したが、Dscはカルシウム濃度依存性に立体構造を生じることから、このEC2領域に対する反応性は立体構造を生じた時のみに生じるのかを検討した。具体的にはDsc3蛋白、Dsc3EC2領域蛋白を、カルシウム存在下またはEDTAでカルシウムを除去した状態で、患者血清との反応性をELISA法で評価した。カルシウム除去下のDsc3およびEC2領域への患者血清の反応性は大きく低下しており、患者血清中のDsc3抗体はEC2領域に存在する立体構造を認識していることが示された。次にこのEC2領域立体構造を認識する抗体が実際に症状(水疱形成)を起こし得るのか、その病原性を検討した。デスモグレイン抗体の病原性は抗体による標的蛋白の減少および細胞接着障害によって示されており、ヒトケラチノサイトに抗体を投与した後のDsc3蛋白の減少で病原性を評価した。患者血清を投与するとDsc3蛋白の減少を認めた一方で、EC2領域に結合する抗体を事前に除去した血清ではDsc3蛋白の減少は抑制された。また、カルシウム除去下のEC2領域に結合する抗体を事前に除去した血清ではDsc3蛋白の減少は抑制されなかった。 この事から、EC2領域の立体構造を認識する抗体はDsc3蛋白を減少させ、水疱形成を生じうる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定している研究計画に沿って結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も研究計画に沿って実験を遂行する予定である。 Dsc3抗体陽性患者末梢血のB細胞から、モノクローナル抗体または一本鎖抗体(scFv)作製する計画があるが、対象患者は希少であることから、本年度の内に対象患者に対して同意を得てサンプルを回収できる準備を行った。対象患者からのサンプル回収、抗体作製を早期から進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたよりも順調に結果が出たことから消耗品(プレート、試薬等)の購入が少なかった。次年度使用額については次年度研究計画へ繰り越して使用する。
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