研究課題/領域番号 |
19K08764
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中村 秀樹 北海道大学, 医学研究院, 助手 (60435956)
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研究分担者 |
西江 渉 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (20443955)
柳 輝希 北海道大学, 大学病院, 助教 (50755973)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | VII型コラーゲン / 有棘細胞癌 / 遠隔転移 / 網羅的ゲノムスクリーニング / CRISPR/Cas9 |
研究実績の概要 |
栄養障害型表皮水疱症(DEB)は、表皮真皮間接合を担う基底膜関連分子の一つであるVII型コラーゲン(COL7)遺伝子に変異を生じ発症する。DEB患者は、外的刺激に伴い容易に水疱を形成し食道狭窄など重症な合併症が多く、なかでも有棘細胞癌(SCC)は発症頻度が高く致死的となることも稀でない。本研究の目的は、DEB患者におけるSCCの発症と遠隔転移機序を解明することである。方法として、COL7遺伝子をノックアウトした培養表皮細胞(DEB患者の表皮細胞のモデル)を作製し、19,500種類の遺伝子を1細胞につき1遺伝子ずつランダムにゲノム編集し、癌化し浸潤・転移を来した細胞から標的となった遺伝子を同定する。その際、ホストとなる細胞をEGFP標識しておくことで浸潤転移細胞を容易に同定可能となる。2019年度は、Cas9とEGFPを安定発現する不死化表皮細胞(HaCaT細胞)を作製し、さらにCOL7A1を標的とするgRNAを遺伝子導入し、EGFP陽性COL7遺伝子ノックアウトHaCaT細胞クローンを3株樹立した。更にGeCKO CRISPR Knock-Out pooled library(addgene)プラスミドからレンチウイルスを作製し、1細胞あたり1遺伝子となるウイルスタイターを同定した。そしてGeCKO library発現レンチウイルスを、EGFP発現ホストHaCaT細胞と、EGFP陽性COL7遺伝子ノックアウトHaCaT細胞へそれぞれ遺伝子導入し、①EGFP陽性HaCaT細胞(健常者モデル)、②EGFP陽性COL7遺伝子ノックアウトHaCaT細胞(DEB患者モデル)、③網羅的に遺伝子がノックアウトされたEGFP陽性COL7遺伝子ノックアウトHaCaT細胞(DEB患者に生じたSCCを含むモデル)の三種の細胞群の作製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ライブラリースクリーニングするためには、HaCaT細胞へEGFPとCas9を安定発現させ、さらにCOL7A1遺伝子をノックアウトするためのgRANの遺伝子導入など、多数の遺伝子改変を要する。更に、ライブラリーの構築にはプールしたレンチウイルスの遺伝子導入が必要だが、いずれの過程でも問題なく進捗し、in vitroでの癌化し浸潤能を獲得した細胞の採取まで進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度には、2019年度に作製した細胞をヌードマウス皮下へ移植し、移植4週後に移植部と肺、肝臓転移巣から細胞を回収する。コラゲナーゼ処理後、FACSでGFP陽性細胞を採取しDNAを抽出する。そして、ゲノム編集ライブラリーで使用したgRNA発現ベクター特異的プライマーを用い、gRNA配列部をPCRで増幅し、得られた配列データをMAGeCKソフトウエアを用い解析しCOL7発現特異的に得られた遺伝子の同定を目指す。2021年度には、2020年度に同定した遺伝子が実際にCOL7依存性に浸潤転移能を規定するか確認するために、同定遺伝子を標的とするgRNAをCOL7+およびCOL7-ホスト細胞へトランスフェクションし、候補遺伝子ノックアウト細胞を作製する(3~5種の候補遺伝子を予想している)。これらの細胞を上記4と同様に免疫不全マウス皮下へ投与し、COL7依存性に浸潤転移能を持つ様に変化するか確認する。
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